社会保険事務所の思い出

15年以上前に、有限会社を設立した。分からないことが多すぎたが、指南書などを読んで何とかかんとか設立はOK。事務所も開設し、税務署への届出も済ませ、どうにか格好をつけられた。で、落ち着いた頃に行ったのが社会保険事務所。厚生年金などの話を聞きに行ったところ、ひどい対応だった。窓口で受付をしていた女性に来訪の目的を話すと、会社のこと(従業員は何人か、年商はどのくらいか、創業何年か、などなど)を口頭でメモも取らずに聞き、その後。「あんたのところのような会社をいちいち相手にできるほど、私たちはひまじゃないのよ! もっと大きな会社になってから来なさい」という主旨のことを、もう少し汚い言葉遣いで言われてしまった。腹も立つし、困惑するしで、とても困った覚えがある。


6年くらい前、同じ社会保険事務所から電話がかかってきた。かけてきた女性の担当者曰く「厚生年金や保険はきちんと加入してますか」。創業期に前述のような対応を受けたこと、それ以降、会社としての年金や保険制度は設けず、社員個々が個人年金国民年金を含む)や国民健康保険に加入していることを告げると「それはおかしい。企業としてすべきことをきちんとしていないのは、経営者として怠慢だ。調査の上、しかるべく対応する」という主旨のことを、かなり汚い言葉で述べた後、電話を一方的に切ったという(伝聞調なのは、私が直接電話に出たわけではなく、経理担当者が出て対応したため)。その後、何か連絡があるかと思っていたが、調査結果とやらは結局連絡がないままだった。


このところ、社会保険庁を巡る話題があちこちで取り上げられている。論者の中には「システムとして、あるいは、当時の上層部の対応がおかしかっただけで、現場の社会保険事務所の人はしっかり仕事をしている」という人もいる。でも、私の実体験からは「現場はしっかりやっている」という意見には同調できない。組織の自浄作用が機能するとか何とか言う問題の前に、ろくな個人が集まっていなかった印象が強いからだ。解体して出直すときは、職員の頭数を揃えるのではなく、きちんと働いてくれる人を入れてほしいと、切に願うしだい。