星への旅(吉村昭):新潮文庫

吉村昭自選作品集 第1巻 少女架刑・星への旅
集合・解散場所へ往復する列車内で読む。このところなぜか連続して読んでいる吉村昭の初期短編集だ。作者の淡々とした筆致が、ともするとイライラしがちな高ぶった気持ちを落ち着かせてくれる(気がしている)。個人的には、恩田陸の一部作品(『茶と黒の幻想』など)に似た臭いを感じる書き方だ。
表題作を含め「死」をテーマにした作品のオンパレード。「少女架刑」「透明標本」を興味深く読んだ。テーマの好き嫌いはあるかもしれないが、落ち着いた書き方に感じ入るところは多い。