さらば、とんかつ

飲食店の思い出シリーズ、第3弾。
いま住んでいるところは、学生時代を過ごした街でもある。
20年前に住み始め、15年前に一度去り、8年前に戻ってきた。
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戻ってきて気付いたのは、20年前から変わらず営業している商店の多いこと。
ともすれば“シャッター通り”になりがちな個人商店中心の商店街なのに、ほとんど変わらない店の並び。何となく、ホッとしたのを覚えている。
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昔と変わらない店の一つに、行きつけの「とんかつ屋」さんがあった。目立たない、地味な店だが、味も値段も文句なし。学生時代は、バイトの給料が入ると、よく通ったものだ。8年前に戻ってからは、それほど何度も行ったわけではないが、昔と同じ店主が、昔と同じ味で出すとんかつが、たまの外食の楽しみだった。
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ところが、だ。
仕事に追われて忙しい1ヶ月が過ぎ、ふと「とんかつが食べたいなぁ」と思っていってみると、営業していない。もともと、不定期に休む(いいかげん、という意味ではない)お店だったので、そのときはそれほど気にしなかった。だが、その後はいつ行っても、お休み。どうしたのかな? と思っていたら玄関に貼り紙。「店主体調不良のため、このたび閉店することにいたしました」。
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常連といえるほど足繁く通ったわけではない。でも、こういう店がなくなってしまうのは寂しいもんだなぁ。食べるというだけなら、「ファストフード」や「中食」のチェーン店は、少しずつ増えているから、いいのかもしれないけれど。