ドアD(山田悠介):幻冬舎

ドアD

 小説の中で好きなジャンルに、孤島もの、がある。登場人物たちが、外部からの連絡が途絶した箇所に閉じこめられ、そこで事件が起こる……という話だ。アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』や、西村京太郎の『殺意の双曲線』『七人の証人』などは、すべて好きな作品だ。綾辻行人の『殺人鬼』も、ある意味ではこのジャンルかもしれない。
 孤島ものに、ゼロサムの要素が加わると、さらに好き度が増す。高見広春の『バトルロワイヤル』が世間では著名だが、個人的なこのジャンルのベストは貴志祐介の『クリムゾンの迷宮』だ。
 この本も、孤島+ゼロサムで書かれた一冊。八人の大学生が、ある場所に閉じこめられる。そこから脱出するための犠牲を払いつつ先に進むと、最後には……というお話だ。Amazon.co.jpなどのレビューを見ると「ラストが不条理」とか「救いがない」という理由で低い評価になっているようだが、私はこの話も好き。救いようのない終わり方であるのは確かだけれど。