特別法001条 DUST(山田悠介):文芸社

特別法第001条DUST

 昨日に引き続き、山田悠介の新刊を読む。こちらも、孤島もの+ゼロサムという構造は同じ。とある法案により国家に捨てられた主人公は、無人島に棄てられる。同じ境遇の他のメンバーとともに苦難の500日を過ごし、そして……というのが前半部のストーリーだ。

 後半は、生き延びて生還した後の主人公を描いている。正直言って、この部分は大いなる蛇足に感じてしまった。特に終盤、主人公と別の登場人物の関わりが紹介されるくだりは、予想の範囲にありすぎて新鮮さを感じない。

 物語は、予定調和で終わることばかりでは面白くない。この作者には昨日の『ドアD』で見せたような、ある種の異端を期待しているので、この作品は期待はずれだった。