Through the Agesについて

Advanced Game

12/1のエントリへの追記。

テーマ
Through the Agesは、文明の興隆をテーマにしたカードゲームだ。プレイヤーは文明の指導者(か?)となり、自文明の発展を目指す。文明がどの程度発展したかを示すバロメーターになるのが「文明ポイント(Culture Points)」。ゲーム終了時に、もっとも多くの文明ポイントを蓄積していたプレイヤーが勝者となる。
システム
各プレイヤーが担当する文明は、複数技術(Technology)の組み合わせで表現される。技術は資源を生み出すもの、文明ポイントを生み出すもの、軍事力を高めるもの……など、さまざまな種類のものがある。全部で300種類近くある技術を効果的に組み合わせ、文明ポイントを高めていくのが、各プレイヤーの一義的な目標になる。文明ポイントを得るための手法は複数あるので、プレイヤーごとに異なる勝ち筋を模索できる。
コンポーネント
同種のテーマを扱う『Civilization』や『Mare Nostrum』などと異なり、Through the Agesには共通の地図盤(いわゆる、マップ)はない。各プレイヤーは自分の目の前に文明カードを並べていき、これがそのプレイヤーの領土となる。このあたり、『Outpost』とよく似た感覚だ。なお、カードの中には領地(Territory)というものが用意されている。このカードをうまく入手できたプレイヤーは植民地化(Colonize)を行うことで領土の拡張ができるようになっている。
キーワード
拡大再生産、箱庭建築、資産管理/活用……といったところが、このタイトルを端的に示すキーワードになるだろう。こうしたキーワードを持つゲームが好きな人なら、気に入ってもらえる可能性は高そう。
ゲーム種別
入門用にルールの一部のみを使う「Simple Game」、すべてのルールを使う「Advanced Game」、さらに追加ルールを加えた「Full Game」の三段階に分かれている。Simple Gameはほぼ完全に「多人数ソロプレイ(プレイヤー間の相互干渉要素がなく、各自が黙々と勝利条件の達成を目指す展開。あるいはそういった雰囲気を強く感じる展開のこと)」で進む。Advanced Gameになると他プレイヤーを直接攻撃したり、プレイヤーごとの差異(特定時点での得点状況など)を強調するイベントが発生したり、といった要素が追加される。Full Gameではさらに“近い将来、他プレイヤーを攻撃すること”を宣言するカードなどが登場し、プレイヤー間の相互干渉が活発に行われるようになる。さらに、Simple→Advanced→Fullの順にプレイ時間が長くなるように設定されている。
プレイヤーができること
Through the Agesは「アクションポイント制度」を採用している。各プレイヤーには、それぞれの手番でできることの選択肢が複数提示される。選択肢の数は多く、新たな技術カードを得たり、軍事力を高めたり、生産能力を高めたり、政権構造を変革したり……など、さまざまなものが用意されている。もちろん、手番ではこれらすべてを自由にできるわけではない。手番に取りうる行動の総数(選択肢の総数ではない)には、ルールによる制限がある。たとえば、4つの行動までといった具合だ。この範囲で好きな選択肢を選び、実行することになる。スタートプレイヤーから順に一人ずつ自分がしたいことを選び、実行したら、次のプレイヤーの手番になる。これを繰り返し、ゲームの終了まで進めていく。
第一戦目(12/1)
まったく初めて遊ぶので、無難にSimple Gameから始めてみた。初物ということもあり、各カードの有利不利や、カードの組み合わせによる活用(いわゆる「コンボ」)などは3人ともわからない状況。また、カードを得ることのメリットは、カードに書かれたテキスト(英文のまま)を読まなくてはわからないため、一枚カードを公開するたびにテキストを読み上げ、内容を確認する作業も必要となった。ところどころ、カードテキストだけでは意味が分からず、ルールの原文(こちらも英文)に当たることも。こういった事情のため、お世辞にもプレイアビリティが高いとは言えなかった。ただ、ゲームの流れ自体は一度経験してみればわかりやすい。後半に入ると、カードに記載された「何がこのカードのメリットか」を示すアイコンにも慣れたせいもあって、スピーディに進むようになった。前のプレイヤーが考えるのを待つ時間と、機械的に処理できる部分(資源産出と消費など)を実行する時間のメリハリがつけられるようになったことで、プレイアビリティは向上した。終了までの時間は、約2時間ほど。訳出したルールに手を加え、さらにわかりやすくすることで、もっと短縮化できる印象。
第二戦目の序盤〜中盤(12/1)
同じメンバーでAdvanced Gameを。Simple Gameで、ある程度ゲームシステムに慣れていたため、序盤は良いペースで進む。ただ、二戦目もカードテキストの解釈でいくつか時間を取ることになった。「このカードは○△というメリットがあるのではないか」「いや、ルール原文では□×と記載されている」「でも、ルールに記載されている例を見ると、こうなっていて……」といった解釈のすりあわせで、何度か進行がストップする。中にはルールの記載に曖昧な点もあったりして、「今日は、こういうルールにしておこう」といった場面も。3分の1まで終えるのに約1時間。3/2を終えた時点では3時間が経過していた。
第二戦目の終盤(12/1)
終盤に入ると、今度は逆に進行がスピードアップした。中盤までにルール全般に対する不明点が(おおむね)解消されていたためだ。ただ、そうなると勝ち筋を見極めるための考慮時間が長くなる。早く進めたとはいえ、最後の3分の1にかかった時間は約2時間。何度も遊ぶつもりなら、そして、新たなプレイヤーを呼び込もうと思ったら、効率化を図る工夫が必要そうだ。
ゲームの勝敗
第一戦目はお試しプレイだったので、勝敗は特に気にしなかった。第二戦目は、自文明の指導者にMichelangelo(ミケランジェロ)を任命したカエルさんが、中盤から圧倒的なペースで得点を重ね、他二人を大きく引き離して勝利した。実はこのMichelangelo、BoardGameGeekでは「強力すぎる」と問題視されている指導者。BGGでは圧勝をさせない手法も考えられているようだ。
短時間化への方策
いくつかある。手番で行えることの選択肢の多さが一つのネックになっているので、わかりやすいプレイエイドを作成すれば、もう少しプレイアビリティは上がるはず。問題は、私にそれを作れるか、ということ。頑張ってみるしかなさそう。もう一つは、カードテキストの全訳。カードの大きさと、記載されたテキスト量/レイアウトを考えると、日本語シールの貼付(ルール訳をカードと一緒にスリーブに入れることも含む)では対応が難しそう。カード訳の一覧表を作るor日本語カードを作るということを考えるべきかもしれない。
感想
私の好きな要素が数多く詰まっているタイトルなので、もっと数多くのプレイ機会を持ちたいと感じた。複数回遊ぶことで「自分なりの勝ち筋」や「布石の打ち方」「定跡」が見えてくるタイプなので、一度では評価は定められないと思っている。問題になるのは、一緒に遊んでくれるメンバーを見つけることか。この手の長時間/複雑なタイトルは、同好の士を見つけることが難しい。一度遊んだだけで「もー、いいや」と言われてしまう危険と同時に、何度もやりこんで「必勝パターン」が確立してゲームが一本調子になる危険もある。どういうタイミングで、どこで出すか、が悩ましいところかもしれない。