ねじまき鳥クロニクル・第三部(村上春樹):新潮文庫

ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)
今年の86冊目は、待合室で読むことに。
うむ、やっぱり「終わった」感じがしない。思うに、だ。この作家の小説は、小説内の世界に読者を引き込む力が強烈すぎるのだろう。1ページ目を読み始めたところから、文章で表現されている内容がリアリティを持って、自分の周りで動き出すのを感じる。作品中に出てくる「壁の向こう」「あちらの」世界に引きずり込まれていく感覚。
こうして引きずり込んでいく力が強い分、物語が未完と感じてしまう度合いが強いように思えた。「壁の向こう」「あちらの」世界に引きずり込まれる→作者が物語を語るのをやめた→「壁のこちら側」「こちらの」世界に戻ってこられない……という読後感。想像力があれば、徐々にこちらの世界にソフトランディングできるのかもしれない。


結論。この作者の物語を読むことは好きだ。しかし、読後の感覚は、私と相性が悪い。自分自身の環境が整っている状況でなければ、読むことが怖い。