第1回目セッション(リプレイ・その3)

興味のある方はどうぞ。


■焚き火をせんとや生まれけむ(4日目・1)
翌朝は、緊張感ある打ち合わせから始まった。夜の歩哨中、露営地の後方にイヤな気配を感じたからだ。動物らしい目が光ったのが、遠目に見えたんだ。今日は警戒を強めて行動しないと。「周辺の観察は怠れないな」「マイエラ、今日はスコップ使わなくていいから、周りをよく見ていてくれよ」「わかった。力仕事はまかせたわよ」
昨日と同じような雪道を行く。周りの風景が違って見えるのは、緊張しているせいだろうか。俺とズーブは一言も発さずにラッセルの作業に集中する。
ピリピリした雰囲気が作業効率を高めたか、今日はとても順調。かなり早い時間に設営を始められた。「ふぅ、とりあえず何も起きなかったな」「ええ、あるとすれば夜でしょうか」「となると、歩哨の順序が重要だな」「今夜は4人で起きてるか」
「大変だっ! 化け物が出た!」薪拾いに行っていたマーズが慌てて戻ってきたのは、そんな打ち合わせをしてるときだった。道の北側にある丘の上で、焚き火の明かりが見えたという。遠目で見たところ、焚き火の主はゴブリン。好戦的な化け物だ。
「こちらには気づいてないようだが、どうする」とラッド。「俺としては、やっちまうのがいいと思うんだがな」「ちょっと待ちなさい、ラッドくん。下手に刺激をするより、夜明けを待って振り切った方がよいのではないですか」蒼白になりながら、ジョゼルが言う。「ダンナはそういいますがね、もし後ろから追っかけられたらどうしますか。ここは一発とっちめておいて、心配の種を無くしておいた方がいいですぜ」
俺たちがラッドの意見に賛成したことで、ジョゼルは折れた。「わかりました。何人かはここに残って、荷物の護衛に当たって下さい。それが条件です」「もちろんだ。俺っちとマーズがここに残るから、お前らで行ってこい」「ちょ、ちょっと待った」とアルハイム。「ゴブリンの近くまで、道案内してくれよ、マーズ」「ええっ、ワシがか!?」
侃々諤々の話が続いている中、俺は単独で偵察に出た。山間の道で挟撃にあったらやっかいだ。南側の丘に潜んでる化け物がいないか、確認しようと思ったのだ。丘の上からざっと見渡したところ、この心配は杞憂に終わったようだ。

■二つの戦い(4日目・2)
「なるほど、こういうことか」「誰かを残すべきだったかもしれないな」「それじゃ、対処できないでしょ」「おーい、こっちで150GP見つけたぞ!」「聖カスバートの聖印も残ってました」「ワシの、ワシのナベがない……」「足跡は北西に向かってる。追ってみたが、向こうの方が早いらしい」「重いもの、もってるはずなんですがねぇ」
丘の上で焚き火をしていたゴブリンを排除して戻ると、こちらのキャンプ地が荒らされていた。どうやら丘の上のゴブリンは陽動だったようだ。ジョゼルは刺され、死体が残されていた。大事な“お荷物さま”は持ち去られており、ラッドは……ラッドは?
「あー、そういうことか」とアルハイム。「どうも怪しいと思ったんだよな」。
痕跡をたどってみたものの、追いつけそうにはない。ここはまず、シャプシュまで行こう。そして情報収集をして体制を整えてから、あらためて作戦を考えるのがよさそうだ。話がまとまると、俺たちはつかの間の仮眠を取った。マーズによれば、シャプシュの村までは数時間。夜明けに出れば、午前中には着くはずだ。


(続けようかどうしようか)