第一回目セッション(リプレイ・その4)

興味のある方はどうぞ。

■さらば、我らが愛用武器よ(5日目・1)
アルハイムを除く3人で夜通し見張ったが、何もなし。ホッとしたような、拍子抜けするような気分で朝を迎える。「今朝は保存食でガマンだな」「ワシのナベが、ナベが……」「ソリに置いておいた装備、シャプシュで補充しなくちゃいけないわね」「ナベが……」「保存食4つを5人で、か。途中で何かあったら、空腹で歩けなくなるな」「ナベ……」
ナベにこだわるマーズをなだめつつ、早朝からシャプシュへ向けて出立する。壊されたソリは置いていくことにした。「ジョゼルさんの魂が、主の元へたどりつかんことを」詠唱の声。「おいおい、ジョゼルさんは聖カスバートの信者だぞ。コードの元についてどうする?」
シャプシュへの道中は、極めて順調。「しまったっ! スコップ置いて来ちまった」「クナルト、本気?」「マイエラには、わからんだろうな、この気持ち」「わかりたくもないわよ」「おい、シャプシュが見えたぞ!」

■特約条項の追加(5日目・2)
「それを私が信じなければならない理由は?」目の前の僧侶が、冷たい声で言い放つ。
「仕事は、完遂してこそ意味があるはずだ」さらにたたみかける声。
「君たちの態度は、信義に反しているのではないかね」とどめの一撃。
シャプシュの村。聖カスバート教会。俺たちを迎えたのは、トーランと名乗る僧侶だった。これまでにあったできごとを洗いざらい話し、ジョゼルの遺品(聖カスバートの聖印と150GP)を渡し、マーズの口添えを追加しても、この態度。大柄な体型がかもしだす威圧感と重々しい口調が、俺たちの気持ちを萎えさせる。「お前たちは“取り戻すために、さらに報酬がほしい”という。それはおかしくないのか? ジョゼルが依頼した仕事は終わっていない。仕事をすべて終えてから報酬の話をするのが筋だと思うが、違うのかね」
「これはダメだな」アルハイムが小さな声で言う。「追加報酬は無理だぞ。適当に話をまとめて、とっとと出よう」「そうだな」「賛成!」「それが良いと思います」
トーランから解放されたのは、1時間ほど後のことだった。結局、トーランからの追加報酬や支援はなし。自力で“お荷物さま”を取り戻さなくてはいけなくなった。しかも1週間という期限が追加されて。「ひどいよな。せめて一泊させてくれっていうお願いも聞いてもらえなかった」「うーん」「まぁ、ヒントをもらえたことを良い方に考えましょうよ」「あの“北の廃墟”ってやつ? あたしはあんまり行きたくないなぁ」「でも、それしか情報がないんなら、頼ってみるしかないだろ?」「そうなんだけど」「それより、ワシのナベ……」「わかった、マーズ。これで新しいナベでも買ってくれ」「お、1GPもくれるのかい! ありがたいことだ。あんたらの成功をお祈りするよ」「何が成功なんだか」

(続くみたい)