第一回目セッション(リプレイ・その5)

興味がある方はどうぞ。

■シティアドベンチャー(5日目・3)
「北にあるモンクの僧院の廃墟が、化け物の巣窟になっているらしい」というのが、トーランからのヒントだった。この村に住むマーズの親戚、宿屋(食堂も併設)にいた連中、交易所の主人、そこらにいた村人までつかまえて、話を聞いて回る。こういうことは、エルフの二人にお任せだ。
「でね、北の廃墟に行く道は、雪に閉ざされているらしいの」「そうそう。ちゃんとしたガイドがいないと死ぬぞ、とみんな言ってたな」「ガイド? マーズじゃダメなのか」「彼はモートからシャプシュくらいまでしか知らないらしいのよ。ここから北のことは、わからないみたい」「この村にガイドがいるのですか?」「トラク、とかいう偏屈な男がいるらしい。昔は兄弟で猟師とガイドを兼任してたそうだ。兄貴が殺されてから、ますます偏屈になったらしいけどな」「他に候補は?」「それがね……廃墟に化け物が住むようになってから、村の人は近づいてないらしいの。トラクは行ってるみたいだけど」「ふむ。何とかそいつを雇うしかないな。他には?」「トーランの評判、やっぱり悪いみたいだな。村の誰に聞いても“司祭さまのすることは、わからん”と言ってたよ」「“最近、おかしな連中が村に出入りしてる”って話も聞いたわ。それが誰なのか、目的は何なのか、はっきりしないらしいけど」「怪しくなってきましたね」「ところで、情報収集に1GP使ったから、出しといてね、クナルト」「はあっ!?」「だって一番のお金持ちでしょ」「そういう問題じゃないだろ!」「怒らない、怒らない」

■巨漢のガイド、思わぬ出費(5日目・4)
容赦ない声が飛ぶ。まるで鬼軍曹だ。「この時期の山を、舐めてはいけない。そんな装備じゃ、お前ら死ぬぞ」「何が必要なんだ?」「テント、冬用毛布は絶対だ。保存食も往復で4日分はいるな」「水は?」「そんなものは、雪をかき集めればどうにかなる」「テントって、20GPもするんだよな」「たしか、二人まで寝られるのよね。二張り必要かしら?」「歩哨のこともあるから、一張りでいいだろ」「あたし、ズーブと寝るの?」「おいやですか」「そんなことないけど」
偏屈、という評判のトラク。確かに、陰のある巨漢の男で、言葉遣いもぞんざいだ。でも、きちんと話をしてみると、意外にも簡単にガイドを引き受けてくれた。ただし、条件が二つあるという。一つは、自分の面倒は自分で見ること。トラクはガイドしかするつもりはなく、廃墟に巣くう奴らと事を構えるつもりはないという。もう一つの条件がアミュレットだ。「これと同じアミュレットが、廃墟にあるはずだ。それを取り戻してくれるなら、お前らに付き合ってやってもいい」という。聞けば、亡き兄の遺品だとか。「わかった、見つけることができたら持ち帰ると約束しよう」契約成立。日当は1GPということになった。「付き合うのはいいが、手間をかけさせられても困るのでな」と、トラクは俺たちの装備をチェックし始めた。……そして、テントやら何やらの装備を新調し、宿屋に泊まり、出発の朝を迎える。

(続く)