第二回目セッション(リプレイ・その5)

興味のある方はどうぞ。
そろそろ書きためた分がなくなってきました。

■動揺、もとい、陽動作戦(1日目)

「何だか、薄暗いところね」
「そういう気候なのさ」
「防寒服、持っていてよかったですね」
「冬用毛布とテントもね」
船に積まれていた荷物が運び出されるのを見ながら、町の印象を話し合っていた。そこに、音もなく現れたのは、灰色のローブに身を包んだ人物だ。


「はじめまして、皆さん」マチルダ、と名乗るハーフエルフの老女が、聖カスバードの聖印を見せながら話し始める。
「私は“オルランド代理人”の一人です。いろいろ、お手数をかけたようですね。この黒い箱の護衛、お疲れさまでした」
「一体、何なんだ、これは?」
「ご覧になりましたか。ならばわかるはずです。これは長剣です。それ以上でも、それ以下でもありません」
「やっぱり、聖剣“イリュード”ではない、と」
「もちろんです。本物はすでに確保し、別の場所に保管しています」
『囮かよっ』
「は?」
「あ、いや、陽動作戦だった、ということよね?」
「何も話すことができず、すみませんでした。しかし、ことは秘密裏に運ぶ必要があったのです。我々の近辺に裏切り者がいるようなので。皆さんに運んで頂くことで、あわよくばスパイを発見できるかと思ったのですが、トーランが“病気で亡くなった”いまとなっては、真実は闇の中ですね」
ニッコリと笑うマチルダ
「お、いまのを、釘を刺された、と言うんですよね」
「さあ」。


「教団の話に興味はないの。私たちは、約束された報酬がほしいのよ。ジョゼル、そしてトーランが約束した日当、払ってもらえないかしら」
「マイエラ、と言いましたね、若いエルフの娘よ。あなたの言い分はもっともです。あとで宿屋に届けさせるようにしましょう」
「若い、だって。100歳超えてる私に向かって、なんてこと言うのかしら」
「まぁ、まぁ。興奮しないで下さい」
「ところで、この剣は?」
「見た目以上の価値はないもの。皆さんに差し上げます。ご自由になさって下さい」
「なら、壊れたシミターの代わりに、俺がもらおう」
「箱は?」
「ご安心を、アルハイムさん。我々が引き取り、始末します」

(続きで報酬をゲットの予定)