Frontline D-Day(Dan Verssen Games)

『Down in Flames』や『Lightning』シリーズを作った、Dan Verssenの新作。リリース情報が流れたときは、「21世紀の『Up Front』だ」と話題になったタイトルだった。『Up Front』シリーズを愛してやまない私としては、遊ばないわけにもいくまい(^^;; 手に入れてからしばらく放っておいたが、ようやくルールの抄訳が完成したのでソリティアルールを使って遊んでみた。


『Frontline D-Day』は、カードを使ったウォーゲーム/シミュレーションで、分隊規模での戦闘を扱っている。両陣営の戦力は、兵士一人、車輌一両単位でカード化してあり、複数のカードで分隊を構成する。各兵士/車輌ごとに勝利ポイント(VP)が割り当てられていて、プレイヤーは一定のポイント範囲内で兵士や車輌を選別し、分隊を構成する。『Up Front』のDYOルールが、標準となっているというイメージだ。

選んだ兵士でSection(分遣隊と訳した。班の方がいいかな)を作り、相手の分隊と戦っていく。勝利条件は、相手戦力の過半数を撃破すること。強い兵士や車輌を集めれば強いけれど、カード一枚を失った時のダメージは大きい。少数精鋭にするか、数で攻めるか、プレイヤーの事前計画が重要だ。


戦場は、戦闘開始前にランダムで選んだ地形カードで構成する。『Up Front』と異なり、戦場となる地形カードはゲーム中ずっと変化しない。それぞれの地形には特殊効果があるので、どうやって攻略するか頭を悩ませるかもしれない。


行動はSection単位で行う。移動/攻撃/反撃/準備などの行動から、任意のものを選んで解決していく。行動の解決処理は、『Up Front』と全く異なっている。移動に対して攻撃をしかけたり、攻撃に対して反撃を試みたり、双方のプレイヤーが入り乱れて行動できる。どのSectionを先に行動させるか、予備兵力として残すのに適切なSectionはどれか、など、悩みどころは多い。


行動するときに使うのがアクションカード。使うタイミングが指定されていて、より強烈な行動ができるようになる。通常の行動にはどのアクションカードを使っても良く、『Up Front』のように「手札が揃うまで捨て札と補充を繰り返す」ことはまずない。「2回移動したい」「より強力な射撃をしたい」といった時にアクションカードを使えばいい作りだ。


戦闘解決は、『Up Front』と似ている。相対距離と武装種類、そして射撃モード(精密射撃か、乱射か)によって決まる火力を合計し、相手に対する火力を決める。そこから反撃による火力を減算し、最終的な火力が決まる仕組み。
ヒットを受けた側はチットを引き、それによってピン状態/モラルダメージ/負傷/死亡などの結果を判定するようになっている。


その他にも「弾薬消費」や「装備品」、「ソロプレイ用ルール」など、細かいルールはいくつかあるが、『Up Front』ほどルールは複雑ではない。恐らく、15分ほど口頭でルール説明を受ければ、遊び始めることが可能だろう。