【004】エドカ(Edo-Ca)

・作者:糸井重里(製作総指揮)、百田郁夫&大山功一(考案)
・対応人数:3〜5人
・実プレイ時間:20〜30分(5人で)
・プレイ回数:不明(50回を超えていることは確か)

■ゲームの概要■

伝統ゲームの一つ、『花札(花合わせ)』をベースにしたカードゲーム。各カードの絵柄は江戸の風物になっていて、エド・カード、略して『エドカ』というタイトルになっている。杉浦日向子さんが監修、ほりのぶゆきさんが作画と、当時の著名人が勢揃いして作ったゲームだ。

■14種類×4枚のカードを取り合う■

エドカ』は、全部で56枚のカードを……うーん、やはりカードではなく「札」と呼ぶ方ががしっくりくる。以降は「札」で統一する。もとへ。
エドカ』は、56枚の札を使って行うゲームだ。札は「文化」「職人」など14の種類に分かれている。各種類ごとに4枚ずつの札があり、14×4で56枚となる。それぞれの札には「江戸城」「黒船」「けんか」「谷風」といった江戸の風物が描いてある。札ごとの得点が決まっていて、終了時に他の人より多く得点を集めたプレイヤーが勝利する。
ゲームは、手番順で進めていく。自分の番になったら、1)手札から1枚札を出す→2)山札の一番上にある札をめくる、の順で手番を行う。1)、2)、いずれの場合でも、場札と同一種類のものが2枚セットになったら、自分の得点として獲得できる。一人ずつ手番を行い、誰も出せる札がなくなったらゲームは終わり。その時点でもっとも多くの得点を獲得している人が勝つ。
最後の得点計算では、各札の点数を単純に足した得点と、一定の条件で複数カードを集めて作る「役」の得点を合計する。「役」には「五光」「赤扇」など花合わせに類似したものから、「花魁はドラマー」「四刑罰」など独特のモノまである。最初は種類が多くて覚えにくく感じるが、数回やれば慣れるだろう。

■21枚のチャンバラ札がドラマを生む■

エドカ』は、通常の札56枚に加え、特殊効果を持つ21枚の追加札がある。この札のことをチャンバラ札、と呼ぶ。チャンバラ札の種類は、大きく分けてa)攻め、b)守り、c)特殊の3種類だ。a)とb)は、上で説明した手番内アクションのうち、1)のタイミングで使う。誰かがカードを得ようとしたときに攻めのカードを出すと、チャンバラが発生し、攻防の戦いが起こる。得ようとしていたカードは、この攻防に勝利した側のもの。つまり、誰かが得点をしようとしたタイミングで、その札を奪う行為ができるというわけだ。
例)Aさんの手番。Aさんは手札から「城・川越城」を出して、場にある「城・江戸城」のカードを得点として獲得しようとしている。その時、Bさんがチャンバラ札の「攻・斬り捨て御免!」を出し、そのカードを奪おうとした。Aさんは慌てず「守・やだよぉ、おまいさん」を出して防御。と、思いきや、Bさんはさらに重ねて「刀の錆びにしてくれるわ!」を出した。もはや防御の手段がないAさんは2枚の札をあきらめ、その2枚はBさんのものになる……。
c)の特殊な札は、手番に使うことで大きな効果を発揮するもの。場にある札を1枚or全部獲得できたり、山札から(通常の1枚ではなく)3枚を表にすることができたり、といった効果を持っている。
このように、追加のチャンバラ札を使うことで、展開はダイナミックになる。元になった花合わせのように、確実に取れる札はなく、他の人の残り手札枚数や、すでに出た特殊カードの種類などを把握することの重要性が高まっている。

■ゲラゲラ笑いながら、冷静な判断を■

エドカ』は、花合わせが持つ面白さ(戦略性と運のバランス)に、チャンバラ札によるドラマチックな展開を加えたゲームだ。最初はチャンバラ札の効果に目を奪われがちで、手札からじっくりと戦略を組み立てる面白さが見えづらい。しかし、役の種類や、チャンバラ札の効果と枚数がわかってくると、戦略を立てることがとても面白くなり始める。実はかなり中毒性の高いゲームだと言えるだろう。
私は、『エドカ』は派手な展開だけを楽しむノリ重視のゲームでなく、そのノリに溺れすぎずどこまで冷静に判断できるかを試すゲームだと思っている。ただし、初回ではそこまでの深さを感じることは難しい。このゲームを遊ぶ機会があったら、3回は連続して遊んでみてほしい。1回遊ぶごとに、新しい発見があると思う。そうなったら、アナタはもう『エドカ』の虜のはずだ。

■ファイナル・コメント■

エドカ』は、慣れるための1〜2回の敷居の高さを乗り越えれば、何度も遊べる好ゲームだ。花合わせが好きな人でも、セットコレクションが好きな人でも、きっと気に入ってくれるだろう。ただし、最初は5人で遊ぶことを推奨したい。『エドカ』は、遊ぶ人数によって最初の手札+チャンバラ札の枚数が異なる。人数が少ないと、いきなり多くのカードを持って始めることになるので、何が何だかさっぱりわからず、つまらなく感じてしまう可能性もある。最大対応人数の5人で遊ぶことで、覚える/考える要素が減り、スムーズに楽しめるはずだ。