新旧セレニッシマ

taroさんのリクエストにお応えして(遅いですね。すみません)。


『セレニッシマ』は、新版と旧版では大きく違うゲームになっています。コンポーネント、ゲームの手順にわけて紹介しておきます。ただし、新版セレニッシマは所有していませんので、先日遊んだ時の記憶に頼って書いている部分もあります。ご了承下さい。

コンポーネントの違い■

ゲームで使う地図には、新旧ともに地中海とその周辺国が描いてあります。色味や周りの装飾に加えて、いくつか変更があります。産物が生み出される場所の変更や、エリアの分割の仕方、などです。1箇所でしか産出されない貴重な産物は、香辛料になりました。
プレイヤーが駒として使う船には、大きな変更があります。新版では船の総数が15隻になり、1隻ずつに番号が振ってあります。旧版では船に装着して使っていた“旗”はありません。そのため、ゲームを始める前の準備(旗のシールを旗竿に貼り付ける)は大きく低減されています。これ、すごく大きな改善点かと思います。旧版を遊ぶためには数十分(4人で)〜2時間(1人で)くらい作業に必要でしたから。。。

■ゲーム手順の違い■

新版では、ゲームの進め方が違っています。ゲームに先立ち、プレイヤーは指定された順番で「1」〜「15」の番号がついた船駒を2つ手に入れます。これを持ってゲームスタートです。
ゲームが始まったら、「プレイヤーの手番にすべての所有船を一度に動かす」のではなく、「船についている番号の順に1隻ずつ」プレイを行っていきます。旧版では「最初にこっちの船で交易をして、次はあっちの船で戦闘してから支配して……」などのように動かす順番で工夫する余地がありました。新版ではこの余地をなくした分、考えどころがわかりやすくなっている……という印象です。
船の動かし方/使い方も変わりました。旧版では「好きな順にいろいろなことを」できたのに対し、新版では「動かして交易する」「動かして支配する」「動かさずに水夫や砦などを購入する」の中から1つしか選べなくなっています。また、交易と支配は同時に行えません。ここでも、ある時点で考えることを絞ってわかりやすくするという変更が加わっています。
新版は、その時点で登場している船の行動がすべて終わるまでを1ラウンドとして、複数のラウンドを繰り返して進めていきます。ラウンドが終わったときにイベントカードを公開し、その効果を解決します。カードの中には「ラウンドを一度に2つ進める」ものがあるため、いつゲームが終わるのかは完全にはわかりません。最終ラウンドに最適の行動を探る必要があった旧版とは異なります。
この他、戦闘が起こった時の解決が楽になった、一部の産物に特殊効果が追加された、港に建設できる施設の種類が増えた……といった変更点もあります。

■ほとんど別ゲーム■

セレニッシマの新版と旧版の違いを、大まかに紹介してみました。全体から受ける印象としては、新版は「ある時点で選べる行動の種類を減らし、その分、戦略や作戦を考える余地を増やした」ゲームになっています。旧版の持つ「何でもできる自由度の高さ」は減っていますが、こちらの方がわかりやすい、と感じる方は多いことでしょう。
両方とも遊んでみた経験から言うと、どちらも面白いゲームです。シンプルだけど悩ましいというゲームが遊びたいときは新版を、自由度の高さから生じるパズル的な機動の妙味を楽しみたいという時は旧版を、それぞれ選びます。まぁ、旧版のシールを貼ってあるから言える贅沢ですけど。