【043】トリエステ(Trieste)


・作者:マシュー・マー(Matthew Ma)
・対応人数:3人
・実プレイ時間:20分
・プレイ回数:4回

トリエステの支配権を競うカードゲーム■

イタリア北東部、アドリア海に面した場所にあるコムネ、トリエステ。この自治体の実質的な支配権を競う争いをテーマにしたカードゲームが『Trieste』だ。3人のプレイヤーは、それぞれ有力な勢力の指導者となり、他勢力と競っていく。

■人物と行動とお金。カードの使い方が特徴的■

プレイヤーが担当する勢力は、「市警(City Watch)」「商人(Marchant)」「盗賊団(Thief)」の3つ。それぞれ、専用のデッキ(カードの束)を使ってゲームを進める。各カードには「人物(Character)」「行動(Action)」の2種類があって、活用するためのコストと、使った時の効果が記載してある。これに加えて、全プレイヤー共通の「お金」デッキがある。
プレイはラウンド制。決まった手番順に手札の追加→使うカードを選ぶ→公開して使う……を繰り返す。カードの効果は公開順に適用するので、後手番だと「使いたかったのに、先手番のプレイヤーが使ったカードのせいで無効化された」なんてことも起こる。
ラウンドを繰り返し、「市警:決まった人数の盗賊を捕らえる」「商人:投獄中の盗賊数+αのお金を貯める」「盗賊:一定数の団員に、行動を成功させる」と、勢力ごとに違う勝利条件を達成したプレイヤーが出たらゲーム終了。そのプレイヤーが勝ちになる。

■三つどもえ、あるいは三すくみの関係が面白い■

『Trieste』は、勢力ごとの特徴を活かした勝ち筋を探るのが面白い。盗賊は人物カードで商人からお金を奪えるが、市警に見つかると捕らえられる。商人はカードでお金を稼げるが、盗賊に奪われる危険もある。市警は盗賊を捕らえられるが、そうすると商人が稼ぐことをサポートしてしまい、自身の勝利が遠のくこともある。と、誰かが別の一人に対して“攻撃”すると、自分だけでなく(あるときは、自分よりも)最後の1人を勝利に近づけてしまいかねない。他の二人を均等に“凹ませ”つつ、自分が抜け出せるようにする。その駆け引きとバランス感覚が大事で、そこを考えるのが面白い。とてもよくできたカードゲームだと思う。
難点は2つ。一つ目は、カード効果がすべて文章で書いてあって、その量が多いこと。ある程度は英語を地力で読めないと、遊べない。もう一つは、商人の勝率が高いこと。市警と盗賊がぶつかり合う展開になると、商人が勝ちやすい。その点を知った上で、市警/盗賊が擬似的な協調関係(なあなあ、とも言う)によってバランスを取る必要がありそうだ。