【049】数エイカーの雪(A Few Acres of Snow)
・作者:マーティン・ウォレス(Martin Wallace)
・対応人数:2人
・実プレイ時間:90〜120分
・プレイ回数:31回
■Wallaceのゲームなのに、借金の仕組みはない■
1775年に始まった「フレンチ・インディアン戦争」をテーマにしたウォーゲーム。プレイヤーはフランス、イギリスのいずれかを担当し、手札となるカードを使いこなして勝利を目指す。
勝利条件は、大きく分けて二つある。一つは、相手陣営の拠点を占拠する、というサドンデス勝利。もう一つはゲーム終了時に占領した地域のポイントを合計して、より多い方が勝つ、というものだ。
■カードデッキの作り方/使い方が勝敗を決める■
『A Few Acres of Snow』の地図には、重要拠点である都市や街がボックスで描いてある。各ボックスは道路(獣道もある)で接続してあって、両陣営ともボックスを占拠しつつ支配地を広げていく。
行動の“エンジン”になるのが、プレイヤーごとに異なる構成のカードだ。このゲームは、いわゆる「デッキ構築」の仕組みを採用している。プレイヤーが最初に持つカードは少なく、ゲームの展開を通じて徐々に増やすことで、取り得る行動の幅が増えていく。
カードには「土地」「その他」の種類がある。前者は、文字通り地図上のボックスを描いたカード。ボックスを占領すると山札に追加され、次に引いたタイミングから使えるようになる。「○○の地点を占領したから、次の要衝××に進むルートを確保できた」という事象を表している。後者の「その他」カードは、いろいろな種類がある。移動手段を表すもの、本国からの増援などのイベント、そして、両陣営が争う際に使う兵力、などだ。
このゲームでは、地図上に部隊の駒は存在しない。ある地点で両陣営が衝突したら、手元から兵力カードを出し合って合計値を比較し、大きい方が勝者になる。戦闘の宣言から勝敗判定には一定のタイムラグがあるので、増援をうまく送り込めるかが勝敗を左右する。
■凄い! と思えるシステム。展開は地味だけどね■
『A Few Acres of Snow』の凄いといえる部分は、補給と進撃路選択という二つの要素を、シンプルな形でうまく表現していることだ。デッキ構築の仕組みによって、手に入れた物資や拠点や兵力(カード)はすぐに使えない、ということを身をもって体験できる。この仕組みで他のテーマのウォーゲームが出てほしいくらいだ。
難点は、最初の段階ではゲームバランスが悪かったこと。イギリス側が軍事力重視の戦い方をすると、フランスが勝つチャンスはとても低い。ただし、ルール改変によってバランスが解消されたそうなので(残念ながら、私自身は試していない)、現行のバージョンでは大丈夫だろう。
もう一つの難点は、戦いが地味なこと。戦闘は最大でも2箇所でしか発生せず、ダイスなどによる勝敗のランダム性も排されている。戦線全域で総花的な攻撃を仕掛けて一気に逆転! ということはできないので、派手な展開を望む人には向かない。