コンバットコマンダーとの違い

主に翁さん、カエルのコメントへの返信+自分用のまとめとして。

コンバットコマンダー(Combat Commander、以下CCと略記)は、GMTがリリースしているウォーゲーム/シミュレーション。WW2の歩兵戦闘をテーマにしたタイトルで、ジャンルとしては「戦術級/戦闘級」になる。

カードドリブンシステム(CDS
CCは、カードドリブンシステムを採用している。プレイヤーは手札から任意のカードを出すことでボード上のユニットを「活性化」し、「行動」させる仕組みとなっている。射撃の解決などで必要な「ダイス振り」も、カードを利用する仕組み。このあたりは、WW2の歩兵戦闘を扱った『Up Front』と似たところだろう。ただし、CCには登場する軍の国籍(独・ソ・米)ごとに専用のカードデッキがあり、国籍ごとの違いが色濃く出る作りになっている。ちなみに、手札や捨て札枚数の制限などは、シナリオ/国籍ごとに異なっている。
コンポーネントの違い
前述した『Up Front』との大きな違いは、利用するコンポーネントにある。Up Frontがすべてをカードでプレイするのに対し、CCは一般のウォーゲーム/シミュレーションのようにマップとユニットカウンターを利用する作りとなっている。マップを利用することで「相対距離」や「目の前に現れる地形」などはわかりやすくなっているが、逆に「先の見えないドキドキ感」は減少している。手札の構成にもよるが、“すべてが見える”神の視点でプレイするCCではUp Frontよりも事前の作戦計画が立てやすい。これを良しとするかどうかは、プレイヤーの感性に依存する。私個人としては、どちらもアリ、というスタンスだ。
スケールの違い
CCでは、プレイヤーが扱う兵士達は「分隊(10名単位)」のユニットカウンターで表現されている(この他に、5人程度の「チーム」と、単独の下士官を扱う「指揮官」もある)。ゲームには複数の分隊が登場し、小隊規模での戦闘が中心となる。1人が1枚のカードで表されていたUp Frontとは、スケールが異なる。同じAvalon Hillから登場した『(Advanced)Squad Leader』に近いスケールになっている。
歩兵戦闘への特化
CCが、Squad Leaderなどと異なるのは、AFV(装甲戦闘車輛:戦車や突撃砲、ハーフトラックなど)が一切出てこないことだ。プレイヤーが扱うのは歩兵分隊、指揮官、支援火器、一部の砲兵器のみとなっている。AFVの不在についてはさまざまな意見があると思うが(ある意味で『タイガー1』と逆だよね)、個人的にはお気に入り。Squad LeaderでもUp Frontでも、AFV関連の「参照すべきルールの多さ」にプレイ意欲が殺がれた経験があるためだ。最初から歩兵戦闘のことだけを考えて作られたルールの総量は少ない。ルールを読み、理解し、覚えて、運用する……という能力に欠ける私にとっては、ありがたい話ではある。
カードの使い方
CCでプレイヤーが扱うカードの構成は、Up Frontと似て非なるものだ。カードには大きく分けて3つの要素が書かれている。基本となるのが、自陣営のユニット(複数の場合もある)を活性化させて行動させる「命令(Order)」。「前進」「射撃」「移動」などの基本的な行動は、こうした命令を下すことによって行っていく。ユニットに下した命令に追加することで、行動の効果を高めることができる「行動」が記載されたカードもある。たとえば「射撃」命令を下したユニットに対して「十字砲火」カードを追加して出すことで火力を高める……といったことが可能。Up Frontにおける「Hero」カードのような存在、と言えるかもしれない。最後の一つは「イベント」。ランダムな数値を得るためにカードを開いたときに効果を発揮する。
ややこしい「行動」
上述した「行動」の中は、対戦相手のプレイ中にも利用できるものがある。たとえば、相手が「移動」命令を使い、マップ上でユニットを動かしているとき、「射撃」行動ができたりする。Squad Leaderにおける「防御射撃」のような行動だ。また、相手が「射撃」命令でこちらの部隊を攻撃してきたときに「隠蔽」行動を行って火力を減少させる、といったこともできる。こちらは、Up Frontにおける「Concealed」カードに似ている。カードに記載されている「行動」には、自陣営の「命令」の効果を上げるものと、相手の「命令」の効果を下げるものの二通りがあるわけだ。どの「行動」がどちらに分類されるのか、最初のうちは慣れずに苦労する。カードに書かれている効果が単一(非機能カードや分割カードもあったが)Up Frontと比較すると、ややこしい仕組みだと言えるだろう。
ルールの記述
とにかく、わかりにくい。この日記で以前書き、GTO246さんからコメントも頂いたりしたように、CCのルールはわかりにくい。SADAさんにより、完備した和訳ルールが手に入るけれど、それでもわかりにくさは変わらない。最初の数回はプレイに苦労することは間違いなさそうだ。「命令」と「行動」、「障害」と「妨害」と「遮蔽」、「武器」と「兵器」など、似て非なる概念が多いことが、わかりにくさの原因かもしれない。また、Up FrontやSquad Leaderのように「プログラム学習方式」を採用していないことも、最初の敷居を高くしているように感じた。
戦場の霧「勝利条件」
CCでは、勝利条件が「戦場の霧」になっている。マップ上に5つの「重要拠点」があるのだが、それぞれが持つ価値がスタート時点では不明なのだ。ゲーム開始前、ランダムに各地点の価値を決め、その一部だけを知った状態で両軍は行動していく。相手だけが知っている勝利条件はなにか、敵の行動から戦闘の意図を読み、自分の作戦行動を立てなくてはならない。また、両者ともにわからない勝利条件もある。いったい何が最後の決め手になるのか、シナリオの終了まで緊張した戦いが続けられる。
それでも、私はCCが面白い
批判的な意見が多いけれど、個人的にはCCは面白い(面白そうだ)と考えている。最初の壁(ルールの理解)を乗り越えてしまえば、その先に広がっている世界は広いと思うからだ。プログラム学習方式を採用していないので、1つのシナリオがわかれば、そしてルールの運用に慣れれば、その後はどのシナリオでもルールの追加なしで遊べる。この応用範囲の広さは、Squad Leaderにはなかったこと(たぶん)。CCには戦場のバリエーションがいくつも登場している。早くルールに慣れ、色々な戦場での戦いを体験してみたいものだ。