ジャングルでの終戦(Up Front)

キャンペーン第二戦。今夜もカエルさんにお越し頂き、ジャングルでの戦いを行った。

1)アップフロント・シナリオN(Up Front-Scenario N)/23回目/2人/勝利

郊外で発見した日本軍の先遣部隊を撃退したイギリス軍。潰走する敵の追撃を試みるが、背後のジャングルに逃げ込まれてしまった。夜の闇が迫っていたこともあり、当日の追撃・戦果の拡大は諦め、いったん大隊本部に帰還する。
翌朝、再び戦闘態勢を整えて出撃したイギリス軍は、ジャングル周縁部で昨日と同じ日本軍分隊に遭遇。深い森林を舞台にした、第二の戦いが始まる……。


第二戦目のシナリオは、N「ジャングル遭遇戦(Jungle Meeting Patrol)」。アップフロント本体で提示されているシナリオB「市街戦(City Fight)」の舞台を、ジャングルに変えたという趣きだ。『バンザイ』で追加されるジャングルに関するルール(47項)をすべて適用してプレイする。

2)事前の作戦計画

このシナリオでは、二つの点に注意して作戦計画を立てておく必要ある。一つ目は「ジャングルの特異性」、もう一つは「シナリオ条件」だ。


ジャングルでは、ほぼすべての攻撃において、射撃力が1減算される。具体的には、CC(Close Combat:白兵戦)、FT(Fire Thrower:火炎放射器)以外の射撃は威力を減じられることになっている。したがって、シナリオA/Mとは部隊の“火力効率”も変わってくる。この点には注意が必要そうだ。
“火力効率”の算出方法には色々な考え方があると思うが、私は「3-4-7-15/5-6-9-12」で区切っている。前者は火力効率が良いポイントで、後者は悪いポイント。これは蒼き臥竜さんのサイト「戦の真髄」で提唱されている考え方で、拝見したとき「なるほど!」と思って以降、採用させて頂いている。イギリス軍の場合、射撃力の優位性が確保されているため「2-3-6-14/4-5-8-11」と読み替えなくてはいけないが。
ジャングル戦の場合には、この考え方はそのまま採用できない。射撃力減退を考慮に入れると、もう少し高めにグループの火力を振ってやる必要がある。この点を考えた部隊編成を行うことが重要そうだ。


もう一つの「シナリオ条件」は、かなりやっかい。先日のエントリーで紹介したように、アップフロントには基本的に三つの勝利条件がある。そのうちの「ポイント条件」と、シナリオNにおける「シナリオ条件」は、ほぼ同じ。つまり、勝利条件として選択できる範囲が狭まってしまっているわけだ。日本軍相手に「崩壊条件」を満たすのは厳しく、これも選択肢になりにくい。したがって、このシナリオでは「シナリオ条件」の達成が、ほぼ唯一の勝利の方法になる。
この条件を達成するには、イギリス軍の優位性を一部捨てなくてはならない。そう、アウトレンジ射撃の優秀さだ。勝利条件を満たすために前進すれば、当然相手との相対距離も詰まるわけで、「待ちかまえて、撃つ」だけでは厳しいかもしれない。
もちろん、前進してくる日本軍を撃ち、足を止めてからゆっくりと前進する……という考え方もある。どちらかに絞るのではなく、両天秤にかけられる柔軟性も大切。部隊編成の悩ましさは高まる。


そんなことを考えつつ、今回の作戦を立案してみた。

  • 大火力を確保できる2グループ編成で挑む。
  • 開始時点で移動カードがあれば、とにかく前進。距離1までは突っ込む。
  • LMGを二挺確保し、移動してくる日本軍の足を止め、KIAやROUTに持ち込む。

……何の工夫もない(苦笑)。


実はもう一つ、考えている条件もある。アウトレンジ攻撃である程度の日本兵をKIAや潰走に追い込んだら、「撤退条件」を使って“わざと負ける”手もアリだろう。現在、キャンペーンの勝利ポイントは15点差。このシナリオで負けて12点をカエルさんに献上しても、3点差で勝っている。途中でKIAに追い込めた兵士がいるなら、そして、イギリス軍が無傷で撤退できるなら、思い切って負ける手もアリだ。

3)部隊編成

上記の作戦に基づいて、今回は以下の兵士を選抜した。

  • #24・Bums伍長(SL):前回戦死したBarnard伍長の代役。MP装備なのが厳しい。
  • #03・Scarborough一等兵(ASL):今回の主戦力。彼のLMGに、勝敗がかかる。
  • #12・Gilfallin一等兵:今回はASLではなく、分隊の一員に。LMGが火を噴くか。
  • #26・Oldaker一等兵ATR装備。火力+1は、地味だが嬉しい。
  • #04・Tresham二等兵分隊の中堅。
  • #06・Willis二等兵:同じく、分隊の中堅。
  • #07・Cleary二等兵:モラル1/パニック2ながら、前回の戦いを生き延びた運に期待。
  • #08・Cottrell二等兵分隊の中堅。
  • #09・Bell二等兵:ある意味で、今キャンペーンのキーマン。彼が成長すれば……。
  • #10・Moon二等兵:彼もキーマンの一人。モラルが3になれば、だいぶラクに。
  • #25・McNamara二等兵:彼も同じく、キーマン。主戦力になるかどうかは、今回しだい。

今回は、前回よりも少ない11名。前回の戦いでKIAになった兵士は補充せず、生存者+新規採用者で構成してみた。


4)日本軍の編成

今回の日本軍は、15人の大部隊。グループ編成はかなり偏っていて、以下の通りとなっている。

  • Aグループ(#12-#9):モラル/パニック値の低い兵で構成したグループ。“添え物”か。
  • Bグループ(#1-#20-#4-#18):鬼神Okimoto軍曹を筆頭とした高モラル/パニック値のグループ。“機動”が目的と思われる。
  • Cグループ(#14-#17-#6-#3-#5-#15-#19-#13-#8):何と9名もの兵士で構成した“火力支援”グループ。LMGもここにある。

Cグループの射撃力は、かなりのもの。足を止めての撃ち合いを志向するにせよ、前進を狙うにせよ、イギリス軍にとっては大いなる脅威だ。ここを止める手だてを考えなくてはなるまい。

5)スタート時のグループ編成

今回は少数精鋭の2グループ編成。各グループは以下の通り構成した。

Aグループ(#6-#8-#26-#12-#22)
SLを入れた構成。モラル値は標準的。SLがMP装備で遠距離火力が不足する分を、ATRを入れることで補っている。相対距離1での火力は5、相対距離3で11。
Bグループ(#4-#9-#10-#25-#3-#7)
こちらは6人の編成。MP装備の兵士はいないので、相対距離1でも8火力、相対距離3で15火力。

日本軍の編成は3グループなので、「グループ側方移送」を活用してBグループをCに、AグループをBに、それぞれ移動させるつもり。


6)序盤戦の攻防(1デッキ目)

序盤の手札に恵まれたこともあり、BグループをCに、続いてAグループをBに、それぞれの「グループ側方移送」は無事完了した。日Bグループも前進してくるが、狙撃兵によってグループの中堅といえる#20(Shoburo二等兵)をKIAに追い込む。Shoburoは、確か前のシナリオでもKIAだったはず。高モラル/パニック値の兵士でも関係なくKIAやピンに追い込めるのが狙撃兵の怖さだ。
日Bグループが動揺している間隙を縫い、英B/Cグループはともに距離1へ前進。隠蔽カードがない状態での前進は危険だったが、日本軍からの射撃はジャングルの地形に阻まれて有効な打撃を加えられない。無事、-3の地形効果を持つジャングルに入り込むことができた。


その後は日英ともに足を止めての射撃戦。兵士の何人かをピン状態には追い込むものの、KIAや潰走させるには至らない。そうこうするうちに、日Cグループの火力を支えるLMGが故障。しかも、修理チェックに失敗し、除去されてしまう。さらに#9のFuchida二等兵が潰走に追い込まれ、一気に火力が減退した。
この時点でイギリス軍は「撤退」の選択肢を破棄。徹底して攻め続けることで「崩壊条件」の達成を狙う方針に切り替えた。


現在の勝利ポイント
日本軍:3(Bグループ)+8(Cグループ)
イギリス軍:5(Bグループ)+6(Cグループ)+2(KIA×1)+1(潰走×1)


7)中盤戦の攻防(2デッキ目)

今回の戦いは、ある意味で狙撃兵が明暗を分けた。2デッキ目に入り、イギリス軍の狙撃兵が再び日Bグループを狙う。今度は、#4のKobayashi二等兵がKIAに追い込まれる。KIAになるということは、RNCの数値が高いわけで、日本軍の狙撃兵チェックは成功しない。これで、日Bグループは当初の半数である2人になった。機動グループとしての体をなさないわけで、いかにOkimoto軍曹でも厳しかろう。
また、日CグループもLMGを失ったことで火力が極端に落ちている。この機を逃す手はない。手元に有効な地形カードも隠蔽カードもなかったが、英B/Cグループはいずれも前進を開始した。距離2、である。


さすがに、ライフル主体の日本軍でもこの距離(相対距離3)になれば十分な火力を持つ。次から次に射撃を喰らうが、そのたびにRallyカードで回復。ジャングル地形の引きに期待しながら移動状態を保つ。その甲斐あって、英Bグループは-3の地形効果を持つジャングルに進入した。一方の英Cグループは河川で足止め。二兎を追う者でも一兎は得られた。
しかし、現時点ではイギリス軍がやや優勢。これで焦った日本軍が前進してくれれば、「崩壊条件」を達成しやすくなるのだが……。


と、安堵しているところへ今度は日本軍の狙撃兵が襲いかかる。英Bグループを狙った狙撃は、部隊の要である#6のWillis二等兵をKIAに追い込んだ。勝利ポイントだけでなく、彼の戦死は厳しい。このままで大丈夫なのか、と不安になる。


現在の勝利ポイント
日本軍:2(Bグループ)+8(Cグループ)+2(KIA×1)
イギリス軍:8(Bグループ)+4(KIA×1)+1(潰走×1)

8)終盤戦の攻防(3デッキ目)

勝利ポイントは僅差なので、どちらかが動くしかない。英Cグループが渡河移動したのを見て、日Cグループも移動を開始。しかもFlank(側面移動)を使って、英Bグループに回り込む。LMGの脅威がなくなっているとはいえ、火力2倍は厳しい。
……とは、実はまるで思わなかった。英Bグループが立てこもっているジャングルは、地形効果-3。しかもご丁寧に塹壕まで掘ってある。さらにジャングルでの戦いであるため、射撃力は-1扱い。つまり、高射撃力のカードを出しても、必ず-5されるのだ。英Bグループにはモラル値3以上の兵士しか入れていないので、射撃力+RNCの値が8以上でなければ何の効果もない。こちらを狙って射撃し続けてくれれば、カードはどんどん回転して制限時間も近づく。現時点のポイント差を維持できるのならば、問題はない。


こうして日本軍の目が英Bグループに集中している間に、日Cグループに対して河川カードを置く。さらに、ジャングルに入った英Cグループから、相対距離3で高火力射撃を連続で浴びせていく。この目論見はうまくいき、Cグループのうち4人(Fujiyama二等兵、カエル二等兵、Asanti二等兵、Sakai二等兵)をKIAに、2人(Yorido二等兵、Ishishi二等兵)を潰走に、それぞれ追い込んだ。もはや完全にイギリス軍が優勢だ。


あとは制限時間が来るように、カードを早く回転させればOK。射撃カードがあれば使って消費、なければ捨て札で消費。その繰り返しで、3デッキ目を終了させられた。


終了時の勝利ポイント
日本軍:2(Bグループ)+3(Cグループ)+2(KIA×1)
イギリス軍:8(Bグループ)+12(Cグループ)+12(KIA×6)+1(潰走×3)


9)対戦の結末

「崩壊条件」「撤退条件」を満たした側はなく、3デッキ終了時の「ポイント条件」で勝敗を判定した。

  • 日本軍:7ポイント
  • イギリス軍:35ポイント

で、今回のシナリオはイギリス軍が勝利した。ほぼ、完勝といえる成果である。


キャンペーンにおける勝利ポイントは

  • 日本軍:−6(勝利点0/KIA×6) →通算で-17ポイント
  • イギリス軍:11(勝利点12/KIA×1) →通算で19ポイント

となっている。



10)部隊状況のまとめ

狙撃兵によってKIAに追い込まれた#6(Willis二等兵)以外は、全員ピン状態にもならず生存した。これにより、気力ポイント3と生存ポイントを1、それぞれ獲得している。前回のシナリオから継続して参加した以下の兵士は、それぞれモラル値が向上した。

  • #12・Gilfallin一等兵:モラル4/パニック4
  • #26・Oldaker一等兵:モラル4/パニック4
  • #04・Tresham二等兵:モラル4/パニック4
  • #07・Cleary二等兵:モラル2/パニック2
  • #08・Cottrell二等兵:モラル4/パニック4
  • #09・Bell二等兵:モラル3/パニック3
  • #10・Moon二等兵:モラル3/パニック3
  • #25・McNamara二等兵:モラル3/パニック3

キーマンである#08、#10、#25のモラル値が上がり、分隊全体の戦力は大きく向上した。上記の8名は生存ポイント2、昇進ポイント1を確保しているので、次の戦いに参加し、生き延び、戦果を上げれば一段階上の階級に昇進できる可能性もある

11)次戦に向けて

次の対戦は、シナリオW「奇襲(Surprise Attack)」。かなり特殊な設定のシナリオなので、事前計画の立案や、対戦中の対応に慎重さが要求されそう。DYOポイントは、攻撃側が236、防御側が242。今回のシナリオで勝利を収めた私が、攻撃側を担当することになっている。