ルール説明が好きなわけ

昨日、水曜日の会に出席した。『キューバ』のルール説明をし、プレイに参加しなかったら、皆さんから気を遣われてしまった。あ、いや、ホントに最近は「遊ぶよりも、ルール説明の方が楽しい」んですよ。どうかお気になさらず。


ゲームの楽しみ方は人によっていろいろあるし、そのときの気分によっても変わると思う。私はもともと、よくわからないことにチャレンジしてみて、仕組みが“見えた”と感じることが大好きだ。ゲームに対してもそういう感覚があって、同じゲームをしつこく繰り返すのは「面白いから」だけじゃなくて「その世界が見えないから、もっと知りたくて」であることが多い。だから、ある回数(タイトルによって異なる)を超えて遊ぶと、飽きてしまう。なんていうんだろ、aha!(な〜るほど!)と感じるまでが興味の持続期間、ってところだろうか。


もう一つ。私は「人にわかってもらう」のが好きみたい。秘密結社を続けているのも、今の仕事を選んでいるのも、自分が伝えたことが“わかってもらえる”瞬間に数多く立ち会いたいからだと思っている。でも、まぁ、現実にはうまくいかないことの方が多くて、頭を抱えることが多い毎日だ。


で、ゲーム。自分がルールを読む、何度か遊んで「わかった!」と思うと、次はそれを人に伝えたくなってしまうのだ。ゲームのルール説明って、現実の世界と違って「その世界をわかりたい」という熱心な人が相手。こちらの伝え方が良くても悪くても、シビアな反応が返ってくる。こういう環境に身を置いて、わかってもらえた時の嬉しさ。ゲームで遊んで勝つよりも、好きなんじゃないかな。今は、たぶん。


もひとつ、ルール説明に熱心なことの理由。『負けず嫌い』。ゲームのルール説明に関して言えば、超S級レベルという方が身近にお二人いる。一人はPHYさん、もう一人はブンケイさんだ。PHYさんのルール説明は、理路整然という表現がふさわしい。そのゲームを遊ぶために必要な事柄を、ヌケやモレなしで、しかも互いの関連がスッキリ頭に入る形での説明。この人にルール説明をしてもらった後のゲームで「ところで、○△のルールって、どうなってたっけ?」という疑問を感じたことは一度もない。自分が遊ぶ「ゲームという世界の仕組み」を、完璧に伝えてくれる人だ。


ブンケイさんのルール説明は、素晴らしい小説を読んでいる感覚。映画かもしれない。文字で書いてあるルールの背景にある世界観とか雰囲気が、伝わってくる。そのルールが表現したい世界は、どんなものなのか。そのために、プレイヤーは何を知っておくべきなのか。ブンケイさんのルール説明からは、理解→分解→再構築→世界の創造、という背景が見える。


このお二人は図抜けているとしても、ボードゲームの世界にはルール説明がうまい方が多い。こういう人たちに“負けたくない”んだよね。別に負けても構わないことなんだけど、そこが『負けず嫌い』の悲しさ。いつか、自分だけのスタイルを作ろう……なんて考えちゃうのよ。


そんなことを考えつつ、最近は「水曜日の会」だけでなく、ボードゲームの世界だけでなく、いろんなところでルール説明の修行中。年齢や立場もあって、プレイヤーとして関われることが少なくなってきた、と言う理由もあるし。


なので、ゲーム会でルール説明だけしてプレイに参加しないでも、お気遣いなく。十分、楽しんでますから。も、もちろん「遊ばせてー!」と言うことだってあるんで、そのときは一つ、よろしくお願いします。