第五回セッション(リプレイ・その1)

興味のある方はどうぞ。
なかなか書きにくい内容でした。



■モウニング・コヨーテにて(1日目・その1)


南へ向かう長い旅の途中、パーティはある村で逗留することになった。宿の名前は『モウニング・コヨーテ(悲嘆するコヨーテ)』。夕食を済ませた後の食堂。暖炉前の特等席では、二人の男が声高に話をしていた。会話の中に時折混ざる「村が全滅」「呪い」「財宝」という言葉が、クナルトの耳に届く。


老人:……でな、トマスじいさんがその村に行ってみると、人っ子ひとりいないっていうんだよ。
若い男:なんだそりゃ。何かの化け物にでも襲われたのかい?
老人:いや、村に変わった様子はなかったそうだ。突然、村の人間が全部消えたんだ。


自分の過去を思い出したクナルトが、二人に話しかける。「その話、ちょっと詳しく聞かせてくれないか」。二人の男は一瞬顔を見合わせて驚いた表情になったが、もともと人なつこいのだろう、クナルトたちを招くと、話し始めた。

老人:ワシゃ、この村で雑貨商を開いてるヴォルフというもんだ。こっちが……ええと、確かジャックだったな。
若い男:ああ、旅の商人をしてる。このあたりに来るのは初めてだがな。何か商売になるものがないかと思って来たんだが……。
ヴォルフ:残念だったな。ここらあたりにゃ、儲かりそうなものは何もないよ。ワシの店と、もう一人の行商人がいるだけさ。で、その行商人−トマス−から聞いた話なんだが……。


(続く)