AutomobileとSteamと

Martin Wallaceの新作、『Automobile』と『Steam』の両方を遊ぶことができた。どちらもメンバーに恵まれ、大変楽しい時間を過ごせた。
両タイトルの顕著な特徴は、いわゆる“Wallaceらしさ”を生み出していた「競り」の要素が重視されていないこと。『Steam』では最初の一回だけ競りを行うが(省略するルールもあり)、それ以外はまったくない。このことが、両タイトルの遊びやすさや敷居の低さを生み出すことに貢献しているという印象を持った。


Martin Wallaceは、「競り」を中心に据えたゲームを数多く作ってきた。『Age of Steam』『Princes of the Renaissance』『Steal Driver』『Tinner's Trail』……タイトルを並べていくと、ほとんどすべてに競りの要素が入っていて、しかもゲーム中にきわめて重要な位置を占める。競りという要素を入れて、遊び手にゲームのバランスを取らせる、というデザイン手法を取る人だと感じていた。


ところが、『Automobile』と『Steam』には、それがない。かわりに、ゲームの仕組みでバランスを取る工夫が随所に施されているという印象を受けた。競りの相場観をつかむのが苦手な私にとって、これは嬉しい変わり方。ゲーム中に競り以外のことを考えることが楽しめるようになったからだ。まだ一度しか遊んでいないけれど、『Steam』が『Age of Steam』に変わってオールタイム・ベストの上位に食い込むことは確実な感じ。後は魅力的な拡張マップが出ることを祈りたい。