【007】1st & Goal

・作者:Stephen Glenn
・対応人数:2〜4人
・ルール説明:10分
・実プレイ時間:90分(2人で)
・プレイ回数:3回
・メーカー:R&R Games(http://www.rnrgames.com/

■カードとダイスでアメフットを■

 アメリカン・フットボールアメフット)というスポーツがある。文字通りアメリカで生まれたスポーツで、彼の地にはプロリーグだけでなく、大学や高校にも複数のリーグがあって、知名度/人気ともにとても高い。
 たくさんのファンがいるスポーツなだけに、アメフットをテーマにしたゲームは数多く作られてきた。Avalon Hillの『Statis Pro Football』や、Electiric Artsの『Maddenシリーズ』など、ボードゲームだけでなく、さまざまな形態で出されている。
 『1st & Goal』は、このアメフットをテーマにした、2011年のゲームだ。遊び手はチームのコーチ(陣)となり、相手コーチ(陣)とのチェスマッチを制して、試合で勝つことを目指す。基本的には2人で遊ぶようになっていて、その場合にはそれぞれの遊び手はHC/OC/DCの役割を兼任する。3〜4人で遊ぶときは、OC/DCのいずれかを担当する。
 遊び方はわかりやすい。攻守ともに専用の“プレイブック”を持ち、その中から一つのプレイを選んで相手のプレイと組み合わせる。その結果として指定された種類のダイスを複数振り、進んだ距離を判定する。これを繰り返していく。そして、攻撃側のカードがすべて尽きたら1st Halfが終了。後半に入る。カードを混ぜてから後半を始め、また攻撃側のカードがすべて尽きたら試合は終わる。

■7人の“選手”を組み合わせる■

 『1st & Goal』では、1チーム7つのサイコロを使う。攻撃は7つ、守備は1つだ。攻撃のランプレイに使うのが白(Ivory)・茶色(Brown)・赤(Red)の3つ、パスプレイには青(Blue)・緑(Green)・黄色(Yellow)を使う。それぞれのサイコロは6面体で、いろいろな数字が書いてある。攻守カードの組み合わせで指定されたダイスを振り、その合計値を出すことで獲得したヤード数が決まる仕組みだ。
 基本セットには2チーム分のサイコロセットが入っていて、それだけで対戦できるようになっている。同じサイコロ、たとえば白でも、チームによって各面に記載してある数字は異なる。これによって“チーム”ごとの特徴を表しているわけだ。ディフェンスとオフェンスのランプレイが強いチーム(往年のNew York Giants型?)とか、パス攻撃が強くて、ラン攻撃が今ひとつ、守備はそこそこ(2011-2012シーズンのNew York Giants型?)とか。全部で6セット・24チーム分の拡張セットも販売されていて、こうした特徴を持つチームがたくさんある。どのチームと対戦するかによって、戦術を変える面白さもある。
 なお、どのような対戦でも攻守のカードは同じ。ちょっと物足りない、と感じる人もいるかもしれない。

■遊べる人は限られている?■

 “遊び方はわかりやすい”なんて書いたけど、半分ホントで半分はウソだ。このゲーム、アメフットの基本的な知識がないと、まず遊べない。ルールブックにはアメフットのルールが掲載されているわけではなく、用語集もない。キックオフとかパントリターンなんて用語はともかく、『Hail Mary』が一発逆転を狙ったパスのこと、なんて、分からない人もいるだろう。そういう人は遊べないし、遊んでも面白くも楽しくもないだろう。
 一方で、アメフットが好きで、ボードゲームも好き、なんていう物好きな人にはオススメだ。試合時間が少し長い(90分くらいはかかる)ことを差し引いても、いろいろな駆け引きとドラマが楽しめる。
 そして……ゲームの外側のルールを考えるのが好きな人なら、もっと楽しみ方は広げられる。『1st & Goal』のコンポーネントを使い、サイコロで表現された“選手”を自由に組み合わせて、自分だけのチームを作り、運営するなんてこともできるからだ。一定の確率で起こる“ケガ”や、選手の疲労や、ドラフトやトレードなど、いろんなルールを決めて仲間内でのリーグ戦も楽しめるだろう。