【008】パラディシオ(Paradisio)


・作者:ニーク・ノイヴァール(Niek Neuwahl)
・対応人数:2人
・実プレイ時間:10〜20分
・プレイ回数:6回

■図形から島へ−とっつきやすくなって再登場■

 『パラディシオ』は、2人専用のボードゲーム。ゲームのジャンルとしては「アブストラクト」に分類できる。現実の世界にある事物を極限まで抽象化して表現したルールとコンポーネントを使って遊ぶ、というものだ。囲碁や将棋をイメージしてもらえると、わかりやすいかもしれない。実はこのゲーム、もとは2010年に『セディチ(Sedici)』という名称で出ていたゲームをリメイクしたもの。元になったセディチは、クリーム色のタイルに図形が描いてある、といういかにも抽象的なコンポーネントだったが、パラディシオには少しテーマ性が追加されている。
 パラディシオになって追加されたテーマは、「海に浮かぶ島」だ。16枚の木製タイルには、それぞれ島の地形の一部が描いてある。これを組み合わせることでゲームは進んでいき、最後にはプレイヤーが“訪れた”島の全容が分かるようになっている。『エントデッカー(Entdecker)』や『カルカソンヌCarcassonne)』風の味付けがなされたことで、セディチよりもとっつきやすくなった、と言える。

■16枚のタイルを交互に出して島を作っていく■

 パラディシオのパッケージを開けると、中には16枚の木製タイルが入っている。前述の通り、各タイルには海岸線や海、森など島の地形の一部が描いてある。各プレイヤーはこのタイルを8枚ずつ持ち、ゲームをスタート。手番ごとに1枚のタイルを場に出し、島を作り上げていく。
 タイルの出し方には一定のルールがある。既存のタイルに辺で接すること、接した辺に地形上の矛盾がないこと、全体の大きさが一定の大きさを超えないこと、だ。ルールに違反するようには、当然タイルを置けない。自分の手番になったときに、ルール通りにタイルが置けなくなったら、そこでゲーム終了。相手に1点が入る。また最初のタイル配付からゲームを始めて……を複数回繰り返して、勝敗を決めていく。

■駆け引きができるようになると面白さがアップ■

 パラディシオの面白いのは、それぞれのプレイヤーが持っているタイルの内容が完全公開であることだ。最初の何回かは自分のタイルを見るのに一生懸命になってしまう。繰り返していくうちに相手のタイルを見る余裕が出てきて、「あのタイルをおかせないように、自分のこのタイルをココへ」と考えるようになってくる。この状態になると、ゲームの面白さが一段アップする。考えて打った手で相手の行動を制限する。うっかり打った手で自滅する/相手にやられる。そんな駆け引きが楽しめるようになる。
 ルール説明から一勝負終えるまでに時間がかからず、いろいろな展開が体験でき、駆け引きが楽しめる。パラディシオは、そんなゲームだ。2人用の手軽なゲームを探している人にはオススメ。ただし、図形を使ったアブストラクトゲームではあるので、苦手意識を持っている人に無理に勧めるのは得策ではない。相手は選ぼう。