【012】1800


・作者:アントニオ・リール(Antonio Leal)
・対応人数:2人
・実プレイ時間:90分
・プレイ回数:13回(ソロプレイも含む)

■2人専用の『18xx』系ゲーム■

ゲームの特徴的な仕組みを取り上げて“○○系”と分類して呼ぶことがある。その仕組みを最初に取り入れた、あるいは、その仕組みを使っている代表的なゲームの名前を使って呼ぶこともある。『ドミニオン』系、『人狼』系、などがよく使われているだろうか。
その一つに『18xx』系がある。最初に持っているわずかな資産を株式に投資して、どんどん増やしていくゲームだ。1974年の『1829』以降、多数のゲームが作られ、遊ばれてきた。
プレイヤーの投資先は鉄道会社。株の価値は、投資先である鉄道会社の業績によって上下する。他の株式投資ゲームと違うのは、投資先の鉄道会社もプレイヤーが運営すること。“投資家”と“企業運営者”の双方の立場を兼務し、それぞれの立場を最大限に活かして儲けていく。終了時に、もっとも多くの資産を持つ人が勝ちだ。
『1800』は、そんな18xx系ゲームの一つ。2人専用(3人でも遊べる拡張もある)であることが、この手のゲームとしては特徴的だ。

■30と同じ+2社のみ+特殊債券あり(不親切)■

ゲームには2つの鉄道会社が登場する。「投資家」として鉄道会社に投資して資産を増やすのがプレイヤーの最終目的だ。投資は鉄道会社の株券を購入して行う。最初は鉄道会社は設立されておらず、プレイヤーに一定数の株式が購入されると初めて営業を開始する。
鉄道会社の株式を最も多く持つプレイヤーは「社長」の役割を兼務し、会社の運営を行う。地図上に線路を敷設し、車輌を購入して運行することで、収益を上げていく。どのくらい利益が上がっているかによって株価が変動したり、株主への配当が支払われる。
株の売却や配当によって増やした手元の現金を、有望な会社に投資してゆき、最終的にもっとも多くの資産を手に入れていく。そんな「拡大再生産」のサイクルをうまく作り出していくことが大切だ。

■90分で遊べる「18の基本形」は貴重だ■

一般的に、18xx系のゲームは時間がかかる。投資家としても経営者としても常に状況判断と決断が迫られるため、考える時間が長くなりがちだからだ。また、細かい数字の計算など、処理する項目が多いことも理由になっている。前述した『1830』は初めて遊ぶと5〜6時間かかるし、その他のタイトルも同様だ。興味はある、でも、時間も労力もかかる……という理由でハードルを高く感じている人もいるだろう。
『1800』は、そんな人にオススメできるゲームだ。18xx系の代表的な仕組みをコンパクトにまとめ、短時間で遊べるように仕上げている。この手のゲームに興味があるなら、遊んでソンはないはずだ。
このゲームの難点は、入手が難しいこと。“本物”の入手は、まず無理。諦めた方がいい。ただ、Board Game Geekにはデザイナー自身がpptファイルを登録・公開しているので、印刷や裁断などの自作を厭わなければ遊ぶことはできる。手間をかけただけの価値はあるゲームなので、興味があればチャレンジしてみよう。