【019】ボマー・コマンド(Bomber Command)


・作者:リー・ブリミコム=ウッド(Lee Brimmicombe-Wood)
・対応人数:2人
・実プレイ時間:150分
・プレイ回数:6回

■夜間爆撃/迎撃をテーマにしたウォーゲーム■

『Bomber Command』は、第二次世界大戦・欧州戦線の中盤〜終盤にか英軍がヨーロッパ大陸に対して行った夜間空襲・爆撃がテーマのウォーゲームだ。一方のプレイヤーはイギリス軍の空軍司令官、もう一方のプレイヤーはドイツ軍の空軍/防空軍司令官になる。
イギリス側はヨーロッパ大陸(フランス〜ドイツ本国)にある都市や工業地帯などの拠点に爆撃を成功させることが目標で、ドイツ軍は夜間戦闘機や高射砲などで爆撃機を迎撃・撃墜・撃退することが目標になる。目標の達成度に応じて双方に得点が入り、イギリスの得点からドイツの得点を引き、その差によって勝敗を決める。シナリオは「Berlin」「Downfall」の2つが用意してあり、時期に応じた機体が登場するようになっている。

■事前プロット制+特殊効果のカード■

準備している相手の裏を欠く。どこからいつ来るかわからない相手に備える。そんな夜間航空戦の様相を再現する仕組みを採用している。イギリス軍は、手持ちの航空機の編成と侵入経路、空襲・爆撃地点などの計画を、手元のミニマップへ事前にすべて記入しておく(事前プロット制)。ゲームが始まったら、事前の計画の通りに航空機の移動/爆撃を実施していく。ゲームが始まる前が本番、だ。
防御側のドイツ軍は、イギリス軍とまったく逆。さまざまな方法を使い、イギリス軍の爆撃機編隊を察知・索敵していく。飛影が探知できたら迎撃戦闘機を発進させて接近、格闘戦を挑む。
電子戦の優越、格闘戦での火力アップ……などなど、いろいろな特殊効果を描いてあるカードが、この攻防を彩る。

■2時間程度でドラマを楽しめる佳作■

事前プロット制、というと楽しめるようになるまでのハードルが高い感じを受ける。確かにゲームの展開がある程度分かっていないとイギリス軍は「何をしていいかわからない」。ドイツ側も同様だ。また、情報の公開度合いが彼我で異なるため、「お互いがルールを習熟している」というプレイヤー間の信頼関係も必要だ。そんなこともあって、このゲームを遊んでいる人の話はあまり聞いたことがない(オレのアンテナ、感度が低いのかな?)。
でも、実際に遊んでみると、習熟までにそれほどの時間はかからない。1〜2回、お試しをしてみれば、ルールの難易度は思ったほど高くないことがわかるはずだ。また、プレイ時間が意外に短いのも、この手のゲームとしては魅力。終了ターンが決まっているため、だいたい2時間前後で決着が付く。空襲・爆撃の主目標となる都市は毎回ランダムに決めるのでゲーム展開の幅は広い、という魅力もある。このゲーム、所有しているなら遊ぶ価値は十分にあるのだ。