【023】信長後継者戦争(Successors of Nobunaga)


・作者:近藤友樹(Tomoki Kondoh)
・対応人数:3人
・実プレイ時間:300分前後
・プレイ回数:2回

■「本能寺の変」直後から始まるゲーム■

天下統一を目の前にした希代の戦国武将・織田信長は、“完全逆臣”明智光秀が謀反を起こしたときに本能寺でその生涯を終えた。重臣たちは全国各地での戦に赴いており、直ちに行動を起こすことはできない。信長の後を継ぎ、天下を統一するのは誰か!? それぞれ実力を持つ武将たちの戦いが始まった!
『信長後継者戦争』は、いわゆる「本能寺の変」直後の戦乱を扱うウォーゲームだ。プレイヤー数は3人。明智光秀豊臣秀吉柴田勝家の立場で、天下の統一を目指す。日本の各地には有力な武将(毛利家、長宗我部家、など)が複数存在し、ゲーム開始時に味方となる勢力がランダムに決まる。また、態度が不鮮明な中立武将も各地に点在する。これらの兵力をまとめ上げて他勢力を打倒し、天下統一を果たすのがプレイヤーの最終目標だ。

■骨格のしっかりした手堅いシステム■

マップには北端/西端を除く本州全土と、四国地方が描かれている。京、佐和山城など、戦略的に重要な拠点をボックスとし、各ボックス間を街道で結ぶ「ポイント・トゥ・ポイント式」を採用する。
このゲームは地図と駒に加え、カードを使う。自分の手番でカードを出し、イベントを解決するorカードの行動値を使って部隊を動かす、のいずれかを実施する(カード・ドリブン・システム)。
戦闘(野戦)は攻防同時に戦力値分のサイコロを振り、「6」の目が出たサイコロの数だけ相手に損害を与える仕組み。防御側にはボーナスが付くため、攻撃側はかなりの戦力を集中させないと厳しい。戦闘(攻城戦)は攻撃側のみがサイコロを振り、出た目によって攻城側/籠城側の損害が決まる仕組みだ。
ポイント・トゥ・ポイント、カード・ドリブン・システム、戦闘解決、いずれも、最近のウォーゲームでよく使われている手堅いシステム。これにエリア支配による勝利判定が加わって構成されている。ゲームの骨格部分は、とてもしっかりしているといえる。

■ミュージック・トゥナイト■

『信長後継者戦争』は、厳密に言えば“仮想戦”だ。ゲームを始めるときに各地の武将が誰と組むかを決めるのだが、織田信雄織田信孝織田秀信(三法師)のいずれかが、必ず明智光秀と共闘する。また、清洲会議明智光秀が参加するなど、史実とはまったく異なる背景世界でゲームが進んでいく。このあたり、純粋で繊細な戦国時代ファンには耐えられないかもしれない。
一方、仮想戦の「ゲーム」として見ると、非常によくできている。骨格のしっかりした仕組みの上で、“お馴染みの”武将を使い、さまざまな政略/戦略/作戦/戦術を展開する面白さは格別だ。『戦国ふぁいと』『英雄戦国時代』『戦国大名』といったゲームのファンなら、このゲームも楽しんでもらえるはずだ。ただし、ゲーム時間の長さは覚悟してほしい。ワイワイ楽しむゲームではなく、しっかり頭を使いながら時間をかけて“堪能”するタイプのゲームだと思う。