【024】アウスゲブレムスト(Ausgebremst)


・作者:ヴォルフガング・リーデッサー(Wolfgang Riedesser)
・対応人数:3〜6人
・実プレイ時間:60分
・プレイ回数:12回

■ゲームの基本? レースがテーマ■

スタートからゴールまで、一定のルールに従って自分の駒を進めていく。他の人より先にゴールにたどり着いたら、勝ち。そんな「競争」「レース」をテーマにしたゲームは、非常に多い。駒の進め方にランダム制を持たせたり(双六、人生ゲームなど)、現実の競技に固有の要素を持ち込んだり(Fomula-De、Breaking Awayなど)、その他のゲーム的な要素を取り入れたり(Ciao Ciaoなど)……などなど、ざっと挙げただけでも10や20は思いつくだろう。
『Ausgabremst』も、そんなレースゲームの一つ。ターマック(たぶん)のサーキットでの自動車レースをテーマにしている。箱モノなのか、フォーミュラなのか、その辺はわからないが。

■ガス欠の恐怖とおびえながらコース攻略■

各プレイヤーは、自分専用のカードデッキを受け取ってゲームを始める。デッキから一定枚数のカードを手札として持ち、自分の手番になったら1枚を使って1枚を補充する。1枚のカードには1つの数字が描いてあり、その数字分だけ自分の駒を先に進められる。
コースは現実のサーキットを模したものになっていて、たくさんのマス目に分割してある。コーナーは、インコースほど通るマス目が少なくて良いようになっていて、レースにおけるコース取りの重要度を抽象的に表現している。このコースを事前に決めた周回数“走り”、各プレイヤーの順位を決めていく仕組みだ。
特徴的な点は2つ。一つは“ガス欠”の可能性があること。各プレイヤー用のカードに描いてある数値は、合計するとすべて同じになる。合計数の設定は絶妙で、たとえばスタート〜ゴールまでのマス目の合計が70だと、手札数値の合計が74、などのように事前調整する。順調に周回できればいいが、他車の妨害でコース取りに失敗すると最終周まで持たないかもしれない。
もう一つはコースが可変であること。サーキットの半分を描いたボードが複数枚用意してあって、任意の2枚を組み合わせて走るコースを決める。追加マップなどを別に購入しなくても、いろいろなコースでレースができるわけだ。

■強制ピットインはあるけど不敬罪はない■

ゲームの仕組みは、同じデザイナーの人気タイトル『Ave Caesar』とまったく同じ。1989年に出たAve Caesarは後に何度もリメイクされている。日本でもメビウスゲームズが『Q-Jet』の名前でリメイクした。一方で、1993年に登場したAusgabremstは、その後のリメイクなどはなされていない。私は、背景となるテーマはAve Caesarの方が上だが、バリエーションの豊富さという点ではAusgabremstの方が優れていると思う。もっと遊ばれてもよいゲームだと思う。古いゲームなので所有している人も遊んでいる人も少ないと思うが、チャンスがあったらぜひ挑戦してみてほしい。