【027】アップフロント(Up Front)


・作者:コートニー・F・アレン(Courtney F. Allen)
・対応人数:2〜4人(2人が最適)
・実プレイ時間:90分(2人で)
・プレイ回数:36回

■すべてをカードで表現したウォーゲーム■

アップフロント』は、第二次世界大戦における歩兵分隊(一部車輌あり)の戦闘をテーマにしたウォーゲームだ。プレイヤーは10人前後の歩兵からなる分隊を指揮する分隊長の役割を務める。この分隊を率いて、シナリオで指定された任務を遂行することが目標だ。
最大の特徴は、すべてがカードで表現してあること。ウォーゲームではお馴染みのマップはなく、地形はすべてカードに描いてある。紙製の駒もマーカーとして小数を使用するのみとなっている。ランダムな判定を行う時は山札からカードを引き、書いてある数値を参照する。ダイスを使うことはない。

■国籍によるドクトリンの違い■

分隊に所属する兵士は、1人が1枚のカードになっている。シナリオごとに分隊の構成(人数/所属する兵士)は異なっていて、ゲーム開始前に兵士を配分していくつかの「班」を作る(最大4班)。各班に「A」〜「D」の識別記号を付け、以降は班単位で行動する。行動の基本は、「手札からカードを1枚出して何かする」ことだ。前進/後退、射撃、回復などの行動をしながら、任務遂行を目指す。
カードの使い方には、分隊の国籍ごとに違いがある。たとえばドイツ軍の場合、手札上限は5枚。手番では各班ごとにカードを1枚使った行動ができ、さらに手番の終わりに1枚を捨て札にできる。ソ連だと手札上限が4枚で、手番最後の捨て札はできない。こうした違いにより、手札の回転が良い国と、そうでない国の差が出る。各国の戦術ドクトリンの違いが再現されているわけだ。
任務はシナリオごとに異なる。どのシナリオでも共通なのは、敵兵力を壊滅状態に追い込むこと。その他に、一定距離まで兵力を前進させる、緊要地形を占領する、特定の敵を撃破する、などがある。

■真骨頂はキャンペーンゲームにあり■

アップフロントの魅力は、たくさんある。刻々と状況が変わっていく中で最善を尽くそうと頭をフル回転させる感覚、引いてきたカードに一喜一憂する感情の上下、任務遂行がうまく行ったときの達成感、などだ。長くても90分ほどでボードを使った戦闘級のウォーゲームと同様の感覚が味わえるところがいい。
さらに、このゲームの真骨頂なのが「キャンペーンゲーム」だ。これは、複数のシナリオを決まった順に進める遊び方。自分が率いる分隊の構成を自由に決められ、戦闘を経ていくごとに兵士が“成長”していく様子も体験できる。ある種のTRPGのようなものだ。一度キャンペーンゲームの面白さを味わってしまうと、単発のシナリオでは面白くなくなってしまう……というのが、このゲームの唯一の欠点、といえるかもしれない。