【031】スリードラゴン・アンティ(Three Dragon Ante)

・作者:ロブ・ハインソー(Rob Heinsoo)
・対応人数:2〜6人
・実プレイ時間:60分(3人/4人で)
・プレイ回数:11回

■大空を舞うドラゴンが戦う……ギャンブルゲーム■

Dungeons & DragonsD&D)』というゲームがある。ファンタジーTRPGの分野では最古参の部類に入るシステムだ。最新のバージョン4eまで何度もアップデートされており、現在でも愛好者は多い。
そんなD&Dの世界で遊ばれているギャンブル、という設定で作られたカードゲームが『Three Dragon Ante』だ。プレイヤーは自分の手札を使い、大空を舞うドラゴンの編隊を組む。編隊の強さを比較して、最強のものを持つプレイヤーが賭け金を得る。この“勝負”を繰り返し、誰かが最初の持ち金を全部失ったらゲーム終了だ。

■カードの特殊効果をうまく使うのがキモ■

Three Dragon Anteの各カードは、この世界に棲息するトゥルー・ドラゴンのうちの1体が描いてある。ドラゴンは大きく分けてGood(善)、Evil(悪)の2種類がある。プラチナ、ブロンズなど金属名のついたドラゴンは前者で、ブラック、レッドなど色の名前がついたドラゴンは後者だ。これに加えて、特殊な生物のカードがある。
同じ名称(=ドラゴンの種族)のカードは複数枚あって、それぞれ書いてある数値(=その個体の強さ)が異なる。一つの種族がどんな強さの個体で構成されているかには違いがある。たとえばブラックドラゴンは「1」「2」「3」「5」「7」「9」だし、ゴールドドラゴンは「2」「4」「6」「9」「11」「13」だ。
カードにはさらに、ドラゴンの種族がそれぞれ持っている特殊効果が書いてある。「他プレイヤーからお金を奪う」「手札を補充できる」など、ゲーム展開を破壊するほどではないが勝利の鍵になる効果が多い。

■最初はとっても面倒くさい。慣れてからが本番だ■

Three Dragon Anteの面白さの基本は、他のギャンブルゲームと変わらない。駆け引きの面白さ、勝った時の嬉しさや達成感、負けたときの悔しさ、などだ。カードの特殊効果が、この面白さをさらに高めている。どのタイミングでどのドラゴンの効果を使うかが勝敗の行方を決める。特殊効果を使えないようにする仕組みも用意してあるので、派手なだけの展開にならないのもいい。
この“カードの特殊効果を使うのがが面白い”ことは、面倒くささにもつながる。最初のうちは手札に書いてあるテキストを何度も読み、確認する手間がかかる。慣れてからが本番、というタイプのゲームなので、その前に挫折oするr放り出す結果になるかもしれない。けれども、その面倒さを乗り越える努力に見合う面白さはある。ギャンブルゲームに抵抗のない人には、ぜひ遊んでみてほしい。
なお、このゲームは日本語版も販売されているが、個人的にはオススメしない。日本語版のカードサイズはオリジナルと違っていて、続編/拡張の『Three Dragon Ante:Emperor's Gambit』と混ぜて遊べないからだ。日本ではあまり売れなかったゲームのようだから、続編の日本語版が出ることは期待できない。ハマリそうな人は、最初からオリジナルの方を手に入れることをオススメしたい。日本語版の方が特殊効果がわかりやすいから、最初のハードルは低いんだけどね。