【042】スター・ボーダーズ:ヒューマニティ(Star Borders:Humanity)


・作者:ランス・マクミラン(Lance McMillan)
・対応人数:2人
・実プレイ時間:30〜50分
・プレイ回数:5回

■よくある!? よくなくなくない?■

広大な宇宙空間を舞台に、複数の勢力が覇権を競う。それぞれの勢力は際立った特徴(長所と短所)を持っていて、他勢力との違いを意識した戦略や作戦を立案して戦うことが要求される。
覇権争いは長い期間に渡って行われ、新しい技術や武器などが研究・開発されていく。それらによって長所を伸ばすか、短所を補うのか、といった長期的展望を持って戦うことも大事だ。
……いろんなSFゲームを紹介するときのリードに使えそうだな。

■第二版が出て、ずいぶん豪華になった■

『Star Borders:Humanity』は、Victory Point Gamesが2010年にリリースしたウォーゲーム。最初に書いたような要素に加えて、使うコマ数が少なくてシンプルという特徴も持つ。一人あたり10数個しか駒がない割に、どの部隊を生産するかといった戦略性も、戦闘で戦術を考える面白さもある。さらに、いくつかのモジュールを組み合わせて作る可変式のマップを採用していることから、展開のバリエーションが多いという魅力もある。ただ、これだけだと「うん、まぁ良くできてるよね」という評価で終えるところだった。
2013年、新しいバージョンが登場した。今度は全11作のシリーズになる予定で、より多くの勢力が登場することになっている。ランダムで開発される技術の種類も増えた。さらに、より多くの人数で遊べるようにもなる予定だ。よりバラエティに富んだ遊び方ができるようになる。そして、何と言っても嬉しいのが、厚みのある駒とそれなりの厚みを持つマップに変わったことだ。これで、コンポーネント萌えの人を相手にしたときにも“出せる”ようになった。

■シリーズにありがちな“広げすぎ”がないように願う■

正直なところ、このゲームならではの新機軸はない。テーマも含めて、いろいろなゲームで見たことのある要素を組み合わせているだけだ。けれども、ともすれば複雑/長時間化しがちなルールを徹底的にシンプル化しつつ、面白さのキモを残している、というところが、このゲームの凄さだ。プレイヤーが「決断」しなければならないことはいくつもあり、それぞれの選択肢は意外に多い。そして、長くても1時間程度で終わるため「新しい戦略を試したいから、もう一回!」ということも抵抗なくできる。現時点では、かなり良くできた佳作、と言えるゲームになっている、と思っている。
不安があるとすれば、今後の展開だ。この記事を書いている2013年11月末の時点ではシリーズ第2作の『Star Borders:Aliens』がリリースされている。順番に作品が出ていくうちに、ルールの拡張や差し替えが頻繁に起きてしまい、長所だったシンプルさが失われないように祈りたい。