【041】スタートレイダー(Star Trader)


・作者:ジョン・H・バターフィールド、ニック・カープ、リチャード・A・サイモンセン(John H. Butterfield, Nick Karp, Redmond A. Simonsen)
・対応人数:2〜6人
・実プレイ時間:300分以上(3人/4人で)
・プレイ回数:7回

■どこかで見たような、どこにもないゲーム■

『Star Trader』は、宇宙を舞台にした通商・交易をテーマにしたボードゲーム。プレイヤーは6つの宙域を駆けめぐり、莫大な富をつかもうとする星間交易商(Star Trader)になる。主に交易によって資産を増やしていき、終了時にもっとも多くの資産を持っているプレイヤーが勝利をおさめる。

■これが雑誌の付録か!? と思えるほどの盛り込み方■

マップには6つの宙域が抽象的に描いてある。それぞれの宙域では、主に4つの産物の取引を行う。扱う産物は各宙域ごとに違い、その価値は需給バランスによって変動する。宙域による相場の違いを利用し、「安く仕入れ、高く売る」ことにより、プレイヤーの資産は増えていく。この他、旅客の運搬や、特殊なアイテムを運ぶことによっても、利益を得られる。ただし、旅客の運搬には一定のリスクが伴うし、特殊アイテムは運搬の機会が得られない場合もある。
宙域間を移動するために使うのが宇宙船だ。このゲームでは、オーダーメイドの宇宙船というものは存在しない。機体本体に加え、船倉の広さ、エンジン出力、武装の有無、オプションパーツの選択など、複数の要素を組み合わせてプレイヤー自身が設計する。何を目的に、どんな宇宙船を造っていくか。戦略とセンスが要求される。
ゲームの進行に伴い、さまざまなイベントが発生する。特殊アイテムの登場、産物の価格変動、宙域での反乱、宇宙海賊の登場、エイリアンの侵攻など、その内容は多彩だ。イベントの発生を事前に察知することや、発生後に素早く対応することなども、プレイヤーのスキルとして重要になってくる。
さらに、プレイヤーが持っている「特定分野に対するコネクション」によってイベントの結果が変わったり、「評判(名声)」という要素があったり、プレイヤー同士の戦闘や、宙域ごとの特色があったり……と、ゲームを盛り上げる要素がてんこ盛り。やろうと思えば、交易そっちのけででドンパチすることも、旅行者の運搬だけで収益を得ることも、工場で生産した産物を売って儲けることも可能。できることがたくさんあって、嬉しい悲鳴をあげるほどだ。

■誰にでも勧められるゲーム、ではない■

Star Tradersは、要素が山盛りの貿易ゲームだ。「こんなのがあったら面白いだろうな」と思えるようなことは、だいたいルール化されている。たくさんの要素をうまく使って、自分だけのやり方を作る。そんな遊び方が好きな人(オレも、ね)にはオススメだ。
ただし、できることの多さは欠点にもなり得る。複雑すぎる、遊ぶのに時間がかかる、などの悪い評価もできるゲームでもある。自分の遊び方のスタイルを知った上で、このゲームを遊ぶかどうかを決めることが必要だ。