第一回目セッション(リプレイ・その6)

興味のある方はどうぞ。

■四方八方からの重圧(6日目)
「そうか」と、トーランのそっけない一言。出立の準備が整ったことを伝えに行ったときの最初の一言がこれ。続けて「時間はないぞ。あと5日だ」と念押し。せめて“頑張れ”くらい言えばいいのに。余計なプレッシャーをかけられて、重い気分でトラクと合流した。
廃墟に向かうルートには、雪が深く降り積もっていた。気分の重さが体にも影響したのか、ズブズブと一歩ごとに雪に潜り込む足。「スコップ、置いてこなければよかったですかね」とズーブ。まったくだ。
途中で出てきた狼(ウルフ)との戦闘も、気分が影響したのかミスばかりしでかす始末。「俺が楯になる。迎え討ちをしている間に、後ろから援護してくれ」と勇ましいセリフを吐きながら突っ込んでいったのはいいが、返り討ちにあってボコボコにされてしまった。「いたたたた。こりゃ厳しいぜ。やっぱり狼は強いな」「何言ってるのよ。最初の攻撃外したからでしょ。もう少し考えなさいよね」「キュア・ライト・ウーンズ、かけておきますね」「それはともかく、そろそろ設営を始めよう。休息しないと、呪文が使えないからな」「アルハイム、お前さん呪文使ってないだろ?」「……俺は眠いの」
幸いなことに、平穏なまま夜が明けた。歩哨時の寒さは、格別だったが。

■訪問時の礼儀作法(7日目・1)
ここは、古いモンクの僧院らしい。山肌の岩盤をくり抜き、内部に区切りを設け、修行の場として使っていたという。建物の半分以上は山に埋め込まれており、露出しているのは入口の門柱付近のみ。門の上には聖カスバートの紋章が彫り込まれている。往時は、己の力を高める志を持ったモンク達でにぎわったことだろう。
しかし、いつしか辺境の僧院は忘れ去られ、訪れる人も少なくなった。装飾をほどこした入口の扉は外されており、脇に立てかけられている。中まで丸見えだ。入口に近い内部にまで雪が吹き込み、獣のような足跡が多数残っている。そして……。
「いたぞ、見張りだ」「ゴブリン一匹ね。警戒している様子はないわ」「どうしましょう? 隠れて近づきますか」「いや、遠距離から不意打ちして、倒してしまおう」
ヒュン、ヒュン、ヒュン、ヒュン。四つの弓の音。一斉射撃を受けたゴブリンは音もなく……内部に姿を消した。「ん、もう! なんで全員外れるのよ!」「いまので完全に気づかれたな」「いま、中で笛の音がしませんでしたか」「大きな声で“こんにちはっ!”ってところだな」

■不在配達?(7日目・2)
廃墟の内部は、薄暗かった。入口から入る日の光以外は、光源は何もない。俺、ズーブが並んで先頭、ランタンを持ったアルハイム、後衛にマイエラという隊形で内部の捜索を始める。中央の広間、奥の祭壇、左奥の部屋、右奥の部屋……ゴブリンらしい足跡以外には、何もない。「となると、やっぱりここか」「ノックしてみます?」「返事されたりするかも」「お届け物です、とでもごまかすか」右手前の部屋のドア。警戒しつつマイエラが開けたが、誰も何もいない。「おいおい、隠し通路か何かで、全部逃げちまったか!?」「ちょっと待って。少し探してみるわ」「いや、調べるまでもないでしょう。あそこですよ、きっと」ズーブが指さした先には、木製の上げ蓋。いかにも、の入口だ。

(続けていいかな?)