【017】第三帝国(Rise and Decline of the Third Reich)


・作者:ジョン・プラドス(John Prados)
・対応人数:2〜6人
・実プレイ時間:1500分前後
・プレイ回数:記録なし(150回以上は確実)

■あのとき、二人は別の道に進んだ■

ウォーゲームを遊び始めたばかりの頃は、「難易度が高い方がエライ」という風潮があった。私たちは『タクテクスII』でウォーゲームの面白さと物足りなさを同時に感じ、“難易度10”のゲームに大いなる期待と幻想を抱いたものだ。次の『スコードリーダー』に挑戦して見事に跳ね返された後、二人が選んだゲームは違っていた。私は第二次世界大戦・欧州戦線がテーマの『第三帝国』、彼は第二次世界大戦・太平洋戦線の空母線をテーマにした『フラットトップ』に、それぞれ手を伸ばした。あのとき、二人の進む将来は違っていたのだろう。私は相変わらずゲームを遊ぶ世界にいて、彼はまったく遊んでいないという。それもまた人生だ。
……なに、コラム風にまとめようとしてるんだろ。疲れてんのかな(苦笑)。以下は、いつもの調子で。

■シンプルな基本ルール+山盛りの特殊ルール■

第三帝国』は、第二次世界大戦・欧州戦線を扱うウォーゲームだ。プレイヤーは主要参戦国の指導者として勝者になることを目指す。中心になるのは陸上部隊の攻防で、海戦/空戦は陸戦に比べると抽象度が高い。
部隊の生産、移動、戦闘などすべてを扱うだけあって、ルールブックは分厚い。ただ、部隊の移動や戦闘に関するルールはシンプルで、10分くらいの口頭説明でも何とかなる。ルールの大部分を占めるのは特殊な状況の処理(国家の参戦や降伏、時期や地形による各種の制約など)についての規定だ。ルールに慣れている人に説明してもらいながら数回“お試し”で数ターンやってみれば、始めるためのハードルは低くできる。

■特徴的な部分は魅力にも欠点にもなる■

第三帝国』の面白さは、プレイヤーが“すべてに関われる”ことだ。部隊の指揮官として作戦や戦術を考えることも、国家経営の責任者として経済力のどれだけを軍備につぎ込むかを悩むことも、同時に体験できる。歴史を扱ったゲームとしては意外に「史実からくる制約」が少なく、戦略/作戦的な自由度が高いのも魅力だ。部隊生産の要素まで含めたウォーゲームを遊びたい人にはオススメ。
ただ、上で魅力として挙げた要素を逆に感じる人がいることも確か。たくさんのことを考えるのは面倒だし、自由度の高さは史実再現度の低さにもつながる。第二次欧州大戦というテーマで遊べる「ゲームツール」として接するのが良さそうだ。