【037】電気ショック/電力会社(Funkenschlag)


・作者:フリーデマン・フリーゼ(Friedemann Friese)
・対応人数:2〜6人
・実プレイ時間:180分
・プレイ回数:2回

■古い方の粗さが好き、という人もいる(オレだ)■

リメイク(Re-Make)、という言葉がある。過去に作られた作品を、新しい手法や独自の要素を加えて「もう一度、作る」ことを指す言葉だ。ボードゲーム/カードゲームの世界でも、名作、傑作と言われるゲームがいくつもリメイクされてきた。一般的には、リメイク後の作品の方が評価は高い。旧作にあった欠点を解消していたり、より洗練されたデザイン手法を適用していたりするからだ。
ただ、世の中には「旧作の粗さが好き」という人もいる。私も、こと『Funkenschlag』については、旧作の方に軍配が好きな一人だ。

発電所と燃料を買って発電、送電網で供給して儲ける■

『Funkenschlag』は、Friedemann Frieseが2001年に発表したボードゲームだ(以後、こちらのバーションを旧版と呼ぶ)。後の2004年にリメイクされた同名のゲーム(以後、新版と呼ぶ)は、ボードゲームが好きな人の間で名作/傑作と評価されている。
ゲームのテーマは、電力会社の経営。プレイヤーは発電所を建設し、燃料を購入して発電を行う。もちろん、発電するだけではダメ。消費地と結ぶ電力網を作り、必要な場所に電力を供給しなければならない。消費地への電力供給によって利益(現金)が手に入り、それを使って発電所や燃料を購入したり、電力網を広げていく。最終的に、より多くの消費地に電力供給できたプレイヤーが勝ちになる。
旧版も新版も、テーマと基本的な仕組み、勝利条件は同じ。違いは「電力網の作り方」にある。旧版では、送電線が経由する箇所(高圧鉄塔?)がマップ上に等間隔でプロットされている(地図上に点が打ってある)。プレイヤーは自分の専用ペンを使って点を結ぶ線を描き、送電網を作り上げていく。新版では送電網と利用コストがあらかじめ地図上に描いてあって、どれを使うかの選択をすればいいようになっている。

■好きなように送電網を作っていけるのが、たまらない■

遊びやすさを比較するなら、新版の方が上だ。旧版では送電網を1つの点を単位として伸ばしていくため自由度は高いが、その分だけ時間がかかる。発電所を巡る競りとか、順番決定の綾などを楽しむというより、送電網を敷設するパズルチックな面白さの方が強い。電力会社の経営、というテーマに沿って用意されている仕組みをすべて使い、楽しみたいという人には、私も新版を勧める。
でも、他の要素よりも「送電網を自由に敷設できる」ことが、私にはとても魅力的に感じられる。マップ上の点を好きなようにつないで少しずつ送電網が伸ばしていく過程が、たまらなく好きだ。同じような嗜好を持つ人なら、ぜひ旧版を遊んでみてほしい。
一つだけ提案。旧版を遊ぶ時に、発電所カードのセットは新版のものを使うといい。新版の方が、発電所の価格と能力のバランスが取れている(と判断している)ためだ。新版の発電所カードは別売もされているので、ハードルはそれほど高くない。お試しあれ。