【036】銀河大戦記(Victory in the Galaxy)

(写真なし)


・作者:岡本博信(Hironobu Okamoto)
・対応人数:3〜4人
・実プレイ時間:180分(3人/4人で)
・プレイ回数:3回

■『Eclipse』の原型はコレだった!?■

技術の研究開発を中心に据えたウォーゲーム。ゲームの舞台は銀河の一部。プレイヤーは辺境の星系からスタートし、中央の星系を自分の支配下(母星システムを置く)にすることを目指す。その過程で他プレイヤーの陣営と時には協力し、時には戦い、競い合う。
ゲームを始めたときには、プレイヤー陣営は横並びの技術力を持つ。一つの艦隊を、一つの星系から隣接する(ハイパードライブ航路?)1星系に移動することしかできない。行動の自由度が著しく低いため、このままでは中央部に到達するまでに長い時間がかかる。
こうした状況を解決するのが、「技術開発」だ。より遠くまで移動を可能にする技術、複数の艦隊を同時に動かせる技術、強力な武装管制システム、などを研究・開発することで、他陣営に対する優位性を確保する。そして、最後の勝者を目指すのだ。

■研究だけじゃダメ! 実用化しないと使えない■

各種の新技術は、紙製の駒(チット)になっている。カップなどにまとめて入れておき、「研究コスト」を支払うことで、一定枚数のチットを引ける。各チットには2つの技術が記載してあって、その種類と「実用化コスト」が記載してある。この分のコストを支払うと、ようやく技術を使えるようになる。
この「研究」と「実用化」の二段階に別れているところが、このゲームの特徴だ。プレイヤーが同時に「研究」できる(=カップから引ける)チットの枚数にはコスト以外の制限はない。しかし、実用化せずに「研究を継続」できる(=手元に残せる)チット数は限られている。実用化までに時間がかかる(=必要なコスト分の資金を貯める)強力な技術を選ぶか、効果は低くてもすぐに実用化できるものを選ぶか、という選択肢がプレイヤーを悩ませる。このジレンマ(トリレンマ以上もあり)が、このゲームの悩ましさと面白さになっているわけだ。
技術開発以外のルールはシンプルにまとまっていて、意識が「技術の開発と運用」に集中できるようになっている。新しいものを生み出し、運用していくという面白さを、十分に味わえるだろう。

■ルールは入門者でもOK。楽しく遊ぶには相手選びが重要■

『銀河大戦記』は面白いゲームだが、難点もある。この手のゲームの場合、「序盤は戦いを避けて技術を開発。中盤は強力な兵力を作る。終盤に強力な軍勢同士で“最終決戦”をして勝者を決める」という展開になりがち。これだと最後の戦闘だけで勝敗が決まり、途中はつまらない。「序盤から積極的に攻撃を仕掛けて目論見を崩す。どこかの戦いで国力が落ちてもいいように準備しておく」といった駆け引きができるプレイヤー同士で遊ばないと、中だるみするゲーム、と思われるかもしれない。遊ぶ相手は慎重に選びたい。
また、このゲームには最終ターンという概念がないため、終盤で「トップのつぶし合い」が始まるとゲーム時間が長引く、という欠点がある。「勝ち抜ける」タイミングを上手につかめる人と遊んだ方が、勝っても負けても面白いだろう。