ルナティックドーン 前途への道標(その3)
・973年6月:最初の仲間
スタートから2年目。まだまだ基盤づくりは続く。
目標の一つである「仲間集め」から始めてみたものの、思ったよりも難航した。
この世界では、プレイヤーキャラクター以外のNPCも自律的に行動している。訓練をして成長していたり、別のNPCと仲間を組んでいたり、犯罪者になって逃亡していたり…と多種多様だ。たくさんのNPCが世界中で一斉に登場した971年7月とは異なり、1年も経つと多くのNPCが自分の道を歩んでいる。そのため、単身で酒場に集まるNPCは少なくなり、仲間にしやすいキャラクターは減る。町中を歩いているNPCを誘っても「忙しいからダメ」「やるべきことがある」などと断られる。
色よい返事がもらえても、パーティを組むには難しい相手だったりもする。阿部礼二は平凡なステータスだが、どちらかといえば後衛で魔法を使うのに適したキャラ。組む相手には前衛を任せたいのだが、HPや筋力が高いNPCはなかなか仲間になってくれない。同じようなステータス傾向の魔法使い/僧侶を集めてもなあ…。
何度も誘っては断られ、を繰り返して、やっと見つけたのが『博学の闘騎』の二つ名を持つアースラ。前衛タイプとしてはまずまずのステータスで、知力や敏捷もそこそこある。年齢も阿部礼二と近く、将来の結婚相手候補にもなってくれそうだ。
・973年7月:自宅を建築する
アースラとのパーティを結成した直後、ようやく初期金が約40000GPになった。そろそろ自宅を建築しても良い頃だ。
この世界では、世界中に一か所だけ自分の家を建築し、そこを拠点とすることができる。自宅では、持ちきれないアイテムの保存や貯金などができるほか、結婚したり子供を作ることも可能だ。所有していて損になることは、たぶんない。
自宅の建築費用は最低でも30000GP。いまの時点では大きな買い物ではあるが、移動中に偶然出会った気球の店で見た「精霊の槍」に比べれば数十分の一。思い切って購入してしまう。
どこに建築するかは、少々悩んだ。阿部礼二の性格や属性に合ったところの方が良いかと考えたからだ。最終的に決めたのはレンシア国の首都である水鏡都市。この世界での第一回目の人生では悪さをするつもりはないので、ここで良いかと思った。
ここで、2年目が終了。所持金は一気に減り、また少しずつ稼いでいく必要はある。先は長い。基盤づくりは翌年以降も続けていこう。ま、それでもまだ20歳だから、少しくらい遠回りする余裕はありそうだね。