Eagle Dayのルールの話(おかしくないか?)

先日遊んだ『Eagle Day』。ベースとなる「Air War System」のルールに一部“わけわからん”ように思える点があった。具体的には、次の部分。強調とか色づけは、私の手によるもの。長いけど、許してね。

■6.0 Air Unitsの記述■

Backprinting. The reverse of the counter shows the air unit when it is based (landed at an airbase or aircraft carrier).

このゲームは空戦を扱っていて、航空部隊を表すユニットを使ってゲームを進める。ユニットの表面には機種名や攻撃力、航続力などが書いてある。引用した原文では、背面は航空機が着陸or着艦した状態であることを示す……と書いてある。確かに、ユニットの背面には滑走路のように見えるイラストと、Basedという文字が描いてある。



■15.1 Taking Offの記述■

An air unit takes off by simply flipping it face up, indicating that it is in the air. It can then move (or simply stay in place over the airbase).

ゲーム中、航空機ユニットを移動する時は、(裏面になっているユニットを)ひっくり返して表面を表示する……と、ルールに書いてある。先ほどの6.0項と合わせて読んでも、矛盾はない。この記述に続く15.2項には、「航空基地への着陸を行うには、(表面になっているユニットを)ひっくり返して裏面を表示する」と書いてある。ここも矛盾はない。



■22.0 FOG OF WARの記述■

A player may always examine his own units, but cannot generally inspect enemy stacks, except by play of a pertinent card, or when combat commences, or via radar. A player can always examine the top enemy unit in a stack. Face down enemy units may also be revealed during combat or via card.
Air stacks are revealed in their entirety if they enter any grid space with any other enemy unit or map-printed installation.
Any unit that is revealed remains so for the remainder of that same day. All units are flipped face down at the start of the next Redeployment Phase.

戦場における情報の不確実性を表現していることを規定するルール。「自分のユニットはいつでも見ていいけど、相手のユニットは“スタックの一番上にあるユニットを除いて”中身を確認できない」「裏面になっている敵ユニットの内容は確認できない」と書いてある。うん、そうだよね。これもわかる。



■22.1 Decoysの記述■

Decoy units are air units in every respect, but have no combat capability (and they do not interrupt enemy movement). They reveal enemy units just the same, or can be used within a friendly stack to deceive the enemy as to that stack’s actual size. Once any decoy is revealed it is removed from the map, and placed into the Abort Box. Decoy units in the Abort Box are automatically received as reinforcements each Reinforcement Phase.

ここでわからなくなった。情報を秘匿するために、Decoy(囮)ユニットがある、というのはわかる。スタックの内容を欺瞞するのに使える、というのもわかる。表になったら、Abort Boxへ……ここがわからなかった。ということは、Decoyユニットは飛行状態になることができない、ということか?
「基地にいる航空機は、どれが“本物”で、どれが“囮”かわからない」ということを表現したいのかもしれない、と解釈して、先に進んでみた。ところが、じゃ。



■22.2 Air Reconの記述

Decoy units may move into spaces containing enemy units, and in so doing, cause them to be revealed. This also reveals the decoy, and causes its removal.

ここでぶっ飛んだ。直前の22.1項の記述と、矛盾してるように感じたからだ。




ちょっとまとめる。

  • 航空機ユニットは、表面が飛行状態、裏面が着陸状態を示す。
  • マップ上で航空機ユニットを移動するときは、裏面から表面に向け、それから動かす。
  • 囮ユニットは、航空機ユニットと同じようにマップ上に配置し、移動できる。
  • 囮ユニットは、明らかになったら(revealed)マップ上から[Abort Box]へ置き直す。

何だか、ヘン。どういうこっちゃ?

Eagle Dayのルールの話(当日はどうしたか)

ルールを厳密に適用しようとすると、どうも変な感じがした。二人で協議。

  • Eagle Dayのマップ上にある航空基地は、そのほとんどが1つの航空機ユニットしか収容(着陸)できないよね。
  • ということは、裏面を向けて置いてあるユニットを移動させる場合、「表に向けて相手に内容を見せてしまってから」「爆撃/迎撃などに向かう飛行経路上のどこかで合流して」「それからスタックを形成して目的地に向かう」ことになる。
  • と、すると、22.0項で言う“Fog of War”なんて、意味がないんじゃない? だって、相手に見えてるんだもの。
  • Decoyに関するルールもヘンに思える。何か違うんじゃないかなぁ。
  • お互い、相手のユニットが分からない状態で、手探りで戦った方が面白いんじゃないかね。
  • そうだ! きっと、飛行中のユニットも裏面のまま動かせるに違いない。6.0項や15.1項が、何か間違ってるんだよ、うん。
  • じゃあ、今日は「飛行中の航空機ユニットも、裏面のままにしておく」「ただし、戦闘になったら(=同一ヘクス上に両軍の航空機ユニットがいたら)すべてのユニットを表面にする」「この段階で、表になったDecoyは除去しよう」「うん、これで矛盾なし」「そうだそうだ」
  • でも、全部裏面のまま運用すると、航空基地があるグリッド上に置いたユニットが“飛行中”なのか、“着陸状態”なのかがわかんないよね。
  • それを明示するために、手元にある木製のトークンを使おう。
  • そうだそうだ、それがいい。

……という話を経て、ようやくゲームが始まり、あの写真のような状態になった。

Eagle Dayのルールの話(やっても面白くなかった)

協議を経て、ルールをどう解釈するかが決まり、ゲームが始まった。
「ええと、この基地から離陸します。マーカーどけて、こういう経路で移動して、ここに着陸するから、マーカー置きます」「次はこっちのユニットね。マーカーどけて、こういう経路で移動して、この地点の空中でターン終了」「今度はコレ。マーカーどけて、こういう経路で……あ、やっぱり止めます。マーカー置いて着陸状態に戻しますね」
何をするにも「マーカー置いて」「マーカーどけて」。手間が増えて、何だか集中できない。これじゃダメなのかなぁ。でも、ルールを厳密に適用すると矛盾が出るように思えるしなぁ……。そうこうするうちに、だんだんイヤになってきてしまった。

Eagle Dayのルールの話(面白そうなんだけど)

『Eagle Day』、ゲームのテーマは面白そう。全体の雰囲気もいい。ルールの解釈があっているか不安に思いつつも、「まずはファイターを囮に出して、迎撃に来る敵戦闘機を返り討ちにしよう。それから爆撃だ」とか「囮(Decoyという特定のユニットを指す言葉ではない)になる爆撃機を出して、そっちに相手を誘引してから……いやいや、むしろ囮と見せかけて主力を出して……」などなど、いろんな戦略や作戦を考える楽しさは味わえた。たぶん、ルールに矛盾を感じなければ、すごく面白いゲームなんだと思う。
きっと今の時代だ。BGGのForumとかComsimあたりを見れば、エラッタとか明確化とかあるんだろう。今はなくても、すぐに出てくるんだろう。でも、なぁ。そういう手間をかけてまで遊んでみよう、と思う気力は、今はない。一生懸命ゲームを作った人には悪い感じもするけど。

Eagle Dayのルールの話(追記)

コメントを頂いたので、その返信としてこちらに追記しておきます。


まず最初に断っておくと、私は『Eagle Day』を所有しておらず、当日は好意で遊ばせて頂きました。なので、以下の記述は記憶違いの可能性もあります。もしそうだとしたら、どうかご容赦下さい。

さて。
Decoyのユニットは、表面に「Decoy」、背面には「based」と書いてありました。他の(Decoy以外の)航空ユニットと、背面は同じです。ゲームのセットアップの時は、他の航空ユニットと同じように背面(basedの面)を上にして航空基地のグリッドに配置します。
ゲームが始まると、Decoyユニットは他の航空ユニットと同じように扱います(22.1項)。つまり、セットアップ時に置いた航空基地から移動する時は、表面(Decoyの面)を向けなくてはなりません(15.1項)。
私は当初、このユニットを表にする行為が、Revealに当たるものだと解釈しました。この解釈だと、Decoyユニットは航空基地から離陸した瞬間に「Revealed」の状態になり、22.1項の記述に従ってマップ外にあるAbort Boxに置くことになります。また、この解釈に従うと22.2項の記述と矛盾します。


この点を矛盾に感じたこと、また、「Battle of Britainがテーマだから、移動の秘匿性が重要なはずだ」と考えたことにより、私は6.0項や15.1項の規程の方がおかしいのでは、と考えました。


……というところです。
ゲームの骨格である6項のルールを違ったように解釈して22項を無視するするのがよかったのか、当日の解釈で良かったのか、自分の中でも迷っているところです。このゲームを遊んでみた方、ルールを読んでみた方のご意見や解釈を、さらにお聞きしたいところです。