【021】蒸気の時代(Age of Steam)


・作者:マーティン・ウォレス(Martin Wallace)
・対応人数:1〜6人(マップによる)
・実プレイ時間:60〜240分(マップによる)
・プレイ回数:39回

■できるだけ自社の路線を使ってもらう■

『蒸気の時代』は、鉄道会社を運営して儲けることを目指すゲームだ。終了時に、もっとも多くの収入を得ているプレイヤーが勝つ。
ゲームで使う地図には、さまざまな色で塗り分けてある都市と、小規模な町が描いてある。ゲーム開始時、都市には色つきのランダムに木製キューブを置く。これが、その都市における潜在的な鉄道利用の需要を示す。赤いキューブは、赤い色の都市を目的とする旅客/荷物を表していて、赤い都市まで運び込むことで収入を得る。このときに重要なのは、できるだけ多くの“運賃”を取ることだ。都市と町をつなぐ線路の連なりを「1区間」として数え、区間ごとに「1」の収入が手に入る。出発地と目的地の間にできるだけ多くの「区間」を設けるように路線を作っていくことが重要だ。

■手持ち現金の少なさをやりくりする■

ゲーム開始前、プレイヤーはまったく現金を持っていない。線路を敷設するにも列車を維持(メンテナンス)するにも現金が必要なので、このままでは何もできない。そこで使うのが「株式発行」という手段だ。市場に自社の株を売り出すことで現金を調達し、会社の運営ができるようにする。ゲームは、全プレイヤーが2株を発行し、10(万?)ドルの現金を手にした状態で始まる。
ゲームは人数に応じた回数のターンを繰り返して進める。競りで手番順を決め、手番順に線路を敷設してキューブを運び、収支計算をして次のターンへ、という流れだ。各ターンに1度、新規株の発行ができるので、追加資金を手に入れてもよい(最大15株まで)。

■「面白いけど、楽しくない」ゲームかも■

このゲームは、実に厳しい。何をするにも現金が必要になるが、常に手持ちはカツカツだ。株式を発行すれば一時的に現金は手に入るが、ターンごとに高額な配当(20%)を現金で支払う必要があるため、うかつに発行できない。下手をすると、配当分の現金を、追加株式の発行で払う、という自転車操業に陥る危険がある。初めて遊ぶときは“倒産”しないようにするのも大変、かもしれない。
ゲームの序盤から中盤は、極めて少ない資金をやりくりして、倒産ギリギリの線で会社を運営していく。そして、苦しいだけの時間が過ぎると、何とか“黒字経営”に持ち込めるようになる。その時には、他のゲームでは味わえない達成感と開放感を味わえる。“その瞬間”が来ることを信じて長い苦労に耐えられる……そんな人にだけオススメの、厳しいゲームだ。逆にこの厳しさが好き、という人向けに実に多くの拡張セットが出ている。一度ハマったら抜け出せない、そんな蠱惑的なゲーム。それが『蒸気の時代』なのだ。