第五回セッション(リプレイ・その11)

興味のある方はどうぞ。
第五回セッションは、これで終わりです。



■ヴォルフからの手紙(10日目)


安堵と落胆を抱えながら、元の宿に戻ったパーティ。彼らを待っていたのはヴォルフではなく、ジャックだった。ヴォルフから預かったという手紙には、こう書かれていた。


君たちに、面白い話を聞かせよう。ヘクストアがこの地を整復していた時代の話だ。
純血のライカンスロープ、ライエというものがいた。彼は自分の力を信じ、何者をも怖れなかった。
そんな彼は、あるとき魔術師の塔へと赴いた。そこに住む魔術師から、さまざまなものを奪い取ろうとして、だ。ライエは、自分の力が魔術師に勝ると考えていた。確かに、その通りだった。腕力と言うことに関して、ライエは魔術師を圧倒するものを持っていた。
しかし、君たちも知るとおり、戦いは腕力だけでは決まらない。魔術師はその知識と技でライエを打ち負かし、反対にギアスの呪いをかけたのだった。


呪いの詳しい中身はわからない。ライエは何も言わなかったから。その後のライエは10の村を滅ぼし、8つの街を滅ぼした。「ここにもない」と言いながら。彼は何かを探すことを命じられたのかもしれない。


ライエが死んだとき、一族は喜んだという。呪いにかかっていたライエは、一族の多くのものを巻き込んで村や街を襲っていたからな。「これで、静かな生活ができる」と、ライエの一族は思ったのだよ。


しかし、その喜びも長くは続かなかった。魔術師がかけたギアスの呪いが、ライエの子孫にも影響を及ぼしていることがわかったからだ。何を探しているのか、何が目的なのか、それはわからない。わかっているのは、ライエの一族がまだ何かを探しているということだけだ。彼の子孫は村や街を襲い、滅ぼすことを続けている。ウィンドワードも、そんな村の一つなのかもしれない。


君たちに、一つだけ感謝しておく。リュカンは死んだことで、一族の呪いから解放された。彼はやすらかに眠ることだろう。


クナルト:ヴォルフ!? 何者なんだ、やつは?
マイエラ:謎が増えたわね。もしかすると、敵も。
ズーブ:うーん、どういうことなんでしょうねぇ。


半端な思いを抱きつつ、パーティは南への旅を続ける。


(第五回目セッション・リプレイ:了)