【046】フロレンツァ(Florenza)


・作者:ステファノ・グロッピ(Stefano Groppi)
・対応人数:2〜5人
・実プレイ時間:135〜170分(2人/3人で)
・プレイ回数:3回

■芸術作品を作って街の名声を独り占め■

『Florenza』は、イタリア・フィレンツェの街を舞台にしたボードゲームだ。プレイヤーは有力な名門一族の長になり、街のあちこちに芸術作品を寄贈(?)して名声を獲得する。ゲームの終了時に、もっとも名声の高い一族のプレイヤーが勝利する。

■桶屋が儲かるのは……なんでだろう?■

このゲームで勝つには、「威信ポイント」を獲得する必要がある。そのためには、複数のステップを踏むことが要求される。
・さまざまな効果を持つ工房(Workshop)を誘致する。
・お金や資源を使い、誘致した工房を建設する。
・工房に一族の労働者を送り込み、お金や資源を手に入れる。
・お金を使って、街にいる芸術家のうち1人を雇う。
・お金と資源(材料)を与えて、芸術家に作品を作ってもらう。
・完成した作品の種類や質によって、威信ポイントを得る。
このゲームならではの特徴は、選択肢がとても広いこと。多くの拡大再生産型のゲームだと、「○○の資源が手元に多いから、××で勝利点を稼ごう」なんていう具合に、だんだんプレイヤーの“勝ち筋が絞られてくる”ように作られている。
Florenzaは違う。ゲームを進めていくと、お金や資源がいくつも手に入るようになる。威信ポイントを稼ぐ「芸術作品」はたくさんあり、必要な資源の組み合わせは豊富。どの作品を作る時にも必須の資源、というのは特になくて(一部、重要なのはあるけど)、よほど失敗しない限り1ラウンドに1作品くらいは完成できるようになっている。作品ごとに完成したときの得点数や恩恵は多少違うけれど。だから、手番が来るたびに考える、悩む。

■選択肢が多いことは、魅力にも欠点にもなる■

『Florenza』の面白さも難点も、前述した選択肢の多さに尽きる。最初から最後まで、選べる手の数は多い。ゲームを進めることで選択肢が増える感じも減る感じも少ないため、小さなパズルをいくつも解き続けているような頭の使い方になる。それを面白い、と感じてもらえる人でないと、このゲームの評価は低くなるはずだ。
なお、このゲームは3人くらいまでで遊ぶのがオススメ。意外に相互干渉が多い仕組みなので、人数が増えると見通しが悪くなるからだ。また、「自分の手番が来てから、状況を見て考える」ことが多く、人数が増えるほど“待ち時間”が長くなる可能性は高い。
総じて、好きな人には堪らんが、そうでない人には徹底的に向かないゲーム。人によっては長時間の“苦行”になりかねないので、誘う/誘われるのは慎重に。